出版社内容情報
フランスの巨匠バルザックの魅力を集めた1冊。「悪と堕落の権化」たるヴォートランが暗躍する『ゴリオ爺さん』『幻滅(抄)』『浮かれ女盛衰記第四部』を収録し、“人間喜劇"の真髄を描く。(解説/野崎 歓)
内容説明
個人や社会の暗部に深く測鉛を下ろして、ときにはおぞましい真実をも明るみに出し、野心の挫折や運命の無情を好んで主題としながら、バルザックの小説はつねにポジティヴな生命感を失わず、人生へのあくなき好奇心と愛着をにじませています。そこに並はずれた創造者バルザック自身の精神の脈動を感じとらずにはいられません。…本書をひとつの入口として、読者がバルザックの築いた大伽藍の探検に乗り出されますよう!
著者等紹介
バルザック,オノレ・ド[バルザック,オノレド] [Balzac,Honor´e de]
1799.5.20‐1850.8.18。フランスの小説家。フランス中西部のトゥールに生まれる。人間へのあくなき好奇心と愛着をもって、同時代の社会と世相をあまねく活写しようと、全89作におよぶ“人間喜劇(コメディ・ユメーヌ)”を精力的に執筆して、フランス近代小説の新しい道を切り開く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
82
『ゴリオ爺さん』以外は抄訳となっていますが、人生への好奇心を感じさせました。挫折や無情が描かれながらも前向きな作風で面白かったです。リアルで奔放で幻想的。人間喜劇すら感じます。バルザックは初読みでしたが、興味の尽きない作家になりました。抄訳でおさめられている2作品も機会があれば読んでみたいと思います。いい入り口になりました。2016/02/05
ウイロウ
9
唯一全訳の『ゴリオ爺さん』を読了したところで中断。というのもこれがあまりに面白く、他の二作を梗概と抄訳で済ませてしまうのが勿体なく思えたから。『幻滅』『浮かれ女盛衰記』は先に完訳を読もう。さて『ゴリオ爺さん』だが、冒頭の作者の予告通りまさにドラマらしいドラマを堪能したという気がする。〝名作〟文学がこんなにも巻措く能わざるストーリーでいいんだろうか。またバルザックの人間観察の鋭さが随所に光っている。わけても女たちを見る目の意地悪なことよ。そのあたりを巧みに日本語で掬い取った博多かおるさんの翻訳もすばらしい。2016/03/07
圓子
8
『ゴリオ爺さん』読了。びっくりするほど面白かった。こんなに続きの気になる「古典」もなかなかない。舞台や小道具は今とは違う旧いものだけど、感覚がいまだに新鮮。2018/05/30
かみしの
5
ゴリオ爺さんは読んでいたので、他の二つを読みましたがなんといっても「浮かれ女盛衰記」が面白すぎる。プルーストやワイルドが影響を受けたという人間喜劇きっての悪役、ヴォートラン(ジャック・コラン)のかっこよさが引き立ちます。きらびやかな表の社交界と政治の世界を、裏から牛耳ろうとする彼の奸計と人間的魅力には、ぼくも思わず動悸を催してしまいました。「俺はこの世を支配してやるよ。これまで二十五年間そうしてきたみたいにな……」ぜひとも抄録ではなく、完全版で読みたい。人間喜劇の手広さに、くらくらしてしまいそうです。2016/10/14
まる太郎
4
バルザックは本当に面白いです。なんでこんなに面白いんでしょう。ゴリオ爺さんがハマる人は他のバルザック作品も絶対にハマると思います。あとスタンダールとか。ウジェニーグランデの解説で知ったのですが、ゴリオ爺さんの昔の邦題はゴリオ親父だったそうな。ドストエフスキーがバルザック好きと聞けて、罪と罰の上巻に感じたバルザック感に納得出来ました。2020/02/26