出版社内容情報
アンセル・パッカーの死刑執行まで12時間。女性たちの視点で描かれる連続殺人犯の生涯とは? エドガー賞受賞、衝撃のサスペンス。
内容説明
アンセル・パッカーの死刑執行まで残り12時間。「完全な善人も、完全な悪人もいない、だれもが生きるチャンスを与えられてしかるべきだ」彼はそう信じている。獄中で密かに温めた逃亡計画もある―。母ラヴェンダー、元妻の双子の妹ヘイゼル、ニューヨーク州警察捜査官サフィ、3人の女性の心の軌跡が“連続殺人犯”の虚像と実像を浮き彫りにする。エドガー賞最優秀長篇賞受賞、衝撃のサスペンス。
著者等紹介
クカフカ,ダニヤ[クカフカ,ダニヤ] [Kukafka,Danya]
コロラド出身。ニューヨーク大学ギャラティン校卒業。複数の著作権代理店で実務経験を積んだのち、出版社“リバーヘッド・ブックス”に入社、アシスタントエディターを務める。2017年発表のデビュー長篇『Girl in Snow』が全米ベストセラーとなり12以上の言語に翻訳された。長篇2作目となる本書『死刑執行のノート』が2023年度エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞を受賞。現在は著作権代理店で文芸エージェントとして働きながら執筆活動を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
87
犯罪の加害者、被害者、それを追う刑事等色々な人の視点から連続殺人を描いた作品で、やはり多くの悲しみがあり、誰も幸せにはなれないとそう思いました。後は加害者はどのように犯罪へ至るのか、それはやはり本人の選択だと、生まれてからの育った環境とか色々な要因があるという人もいますが、最後は本人がいくつもある選択肢から自分で選んだものだと、これはすごく協調して書かれていました。それは確かに間違いのないことだと思います。2023/12/10
かぷち
74
「少女殺し」こと死刑囚アンセルパッカーの生涯を主に3人の女性の視点から描く。派手さは無いんだけど予想以上に良かった。アンセルはそもそも生まれながらの殺人鬼だったのか、環境が彼を変質させてしまったのか。色々と想像してしまうが、あるのはこの現実のみ。加害者がいて被害者がいる、それ以上でも以下でもない。人間が生きるうえで眼の前に現れる無数の選択肢、それを選び取るのは自らである。そう考えると、何気ない日常も非常に重く感じるし、それ故に素晴らしいものなんだな。2024/03/23
yukaring
69
死刑執行まで12時間となった連続殺人犯アンセル・パッカー。"少女殺し"の異名を持つ彼の人生を3人の女性の視点により鮮やかに描き出す衝撃のサスペンス。魅力的でどこか歪な印象のアンセル。彼の壮絶な子供時代や大学時代、結婚などを彼の母親、元妻の妹、捜査官のサフィが複雑な心境で思い返す。彼女達の回想により彼の人となりや心の闇が次第に浮き彫りになっていく。そして実は彼は獄中で不穏な計画も温めていた・・。1人の殺人犯の来し方行く末にすっかり引き込まれつつ善悪の境目や自らの人生の選択などが心に重く迫るストーリーだった。2024/01/26
stobe1904
34
【2023年MWA長編賞受賞作】シリアルキラーで死刑囚のアンセルの執行が12時間後に迫るが、密かに脱獄を計画している。当初はタイムリミットの脱獄物かと思っていたが、死刑囚の人生に関わった3人の女性の生きざまを丹念に掘り下げる作品だった。執行時間が近づくにつれて、2人称のあなたで描かれるアンセルの内面の変容が静かな迫力を持って迫ってくる。派手なアクションやヒネリもないが、人間ドラマとしての読み応えは抜群。エドガー賞作品が翌年に読めることは素晴らしい。★★★★☆2024/03/04
アプネア
22
死刑囚のアンセルは、刑の執行を12時間後に控えていた。だが、一計を案じ脱獄を狙っていたのだが・・・。途中まで脱獄エンタメ作品?と思っていたが違った。死刑囚の母、被害者となった妻の双子の妹、彼を執拗に追う捜査官。3つの女性の視点が、死刑囚の姿を顕に立ち上がらせる。殺人という犯罪が、いかに周囲に影響をもたらすのか。シリアルキラーなどの犯罪実録もので、蔑ろにされてきた被害者の疎外感、もし?あり得た世界線などを鮮明にしている。2024/02/29