出版社内容情報
カルロス・ルイス・サフォン[カルロス・ルイス・サフォン]
著・文・その他
木村 裕美[キムラ ヒロミ]
翻訳
内容説明
上司から突然捜査の中止を言い渡され自由の身となったアリシアは、“センペーレと息子書店”で和やかなひと時を過ごす。一方、相棒バルガスは大臣の車に残されたメモの数字から歴史の闇に葬られた真実に辿りつき…。謎の数字、一冊の稀覯本、そしてある女性が遺したノート。すべてのピースが揃い迷宮の扉が開く時、闇の都バルセロナに“鎮魂歌”が響き渡る。『風の影』シリーズ感動の最終巻!
著者等紹介
サフォン,カルロス・ルイス[サフォン,カルロスルイス] [Zaf´on,Carlos Ruiz]
1964年、スペイン・バルセロナ生まれ。93年のデビュー作『霧の王子(El Pr´incipe de la Niebla)』で、エデベ賞を受賞。5作目の『風の影』でフェルナンド・ララ小説賞準賞(2001年)、リブレテール賞(02年)、バングアルディア紙読者賞(02年)を受賞。20年、アメリカ・ロサンゼルスにて逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
111
フェルミンとセンペーレ一家を巻き込んで壮大な大団円に収斂してゆく下巻。軽妙な文言を連発するフェルミンがいると場面自体が彼のカラーに染まって妙な安心感に包まれる、「人生の借り」に挑む彼はシリーズの総括ヒーローとして相応しい。生涯最後の長編で著者がフォーカスしたのは悲痛な運命を辿った(数万人にも及ぶ)政治犯の子供たち。"忘れられた者たち"の「わたしたちを死なせないで」という願いは本の墓場のコンセプトとも呼応するかのよう。本質的に入り口の扉だけがある物語を読者に万華鏡的に開拓させる充実した"物語のための物語"。2022/10/11
KAZOO
97
サフォンの4部作の最終作品で遺作ともなったものです。やっと最後の結末が語られています。私はこの作家の作品の愛読者で前の3作は幾度か読んでいます。1938年から1992年までの物語です。3作に出てくるセンペーレ書店の店員が警察から逃れ、空襲で幼い女の子を助けて、というところから始まり、最後はその大きくなった女の子と店員の別れがやってきて・・・。その間にスペインの大臣が行方不明となって警察などが入り乱れて陰謀が、という大ドラマです。私はまた最初の「風の影」から通しで読みなおすつもりです。2022/10/06
わたなべよしお
30
なかなか感慨深いなぁ。この作品でいえば、上巻は装飾的な記述が多く、翻訳もイマイチだったけど、下巻でぐっと面白さを増しました。アリシアも印象的な人物だったけど、シリーズ全体でいえば、センペーレ一家やフェルミンと会えなくなるのは悲しい限りです。それにしても、ダニエルが母の顔を思い出せないと泣き、「本の墓場」に行くことで始まったシリーズが終わりました。折にふれて読み返す本となることでしょう。 2022/08/29
まえぞう
23
忘れられた本の墓場シリーズ最終巻は長編ですが、全体像を示すためにはこのくらいの長さが必要なんでしょうね。アリシアとコンビを組むバルガス警部が良いあじを出していましたが、やはり最後はセンペーレ一家の話しに戻ってきました。スペイン内戦からフランコ総統独裁中のバルセロナを生きる人々が丁寧に描かれた作品だと思いました。2024/04/28
tom
21
4部作の最後の一冊。上巻は、タラタラと話題が飛び交っていたけれど、下巻になって、これまでの3巻のディテールが一点に収束する。フリアン(息子のほう)の母が毒殺されるに至った経緯、毒殺したバルスが何をしたのかなどなど、疑問点が一つ一つ解消される。悪事に手を貸した男たちは順番に殺され、登場人物たちは、ようやく平穏な日々に。今回の物語の最重要人物アリシアも平穏を手に入れたらしい。そしてフリアンは「読書という捉えどころのない魔法のごときもの」と語りながら、この物語を書く。楽しんで読むこの喜びがいっぱいの物語。2023/04/01
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