出版社内容情報
人種間の緊張が高まるLA近郊で女性が狙撃された。だが、被害者には秘められた驚愕の過去があり……。圧巻の社会派サスペンス!
内容説明
黒人少年射殺事件を発端に、人種間の緊張が高まるLA近郊。韓国系アメリカ人のグレイスは両親が営む薬局で働いている。一方、元ギャングの黒人ショーンは、今では更生して平穏な日々を送っていた。だが一発の銃弾が、両者の家族が抱えた暗い過去を呼び覚ます…。事件は様々な憶測を呼び、人々の怒りは町を引き裂きながら燃え広がっていく!LAタイムズ文学賞受賞。圧巻の社会派サスペンス。
著者等紹介
チャ,ステフ[チャ,ステフ] [Cha,Steph]
1986年カリフォルニア州ヴァン・ナイズ生まれ。韓国系アメリカ人作家。編集と批評も行なう。名門私立校からスタンフォード大学へと進み英語と東アジア研究を専攻。イェール・ロー・スクールでは法務博士課程を修了した。2013年、探偵ジュニパー・ソンを主人公とする『Follow Her Home』で長篇デビュー。同作のシリーズを2点刊行したのち『復讐の家』を発表し、“LAタイムズ文学賞”と“カリフォルニア・ブックアワード”を受賞。現在、夫と息子と共にロサンゼルス在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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空猫
35
在米韓国人パーク家と黒人のハロゥエイ家が交互に語られ、どう繋がるかと思いきや、接点は銃撃事件だった。しかも27年前の。無抵抗の黒人の頭を撃ち抜いたー残念ながら珍しくもない事件だ。けれど店にやって来ただけの少女を撃ったのは韓国人女性だったので、余計に複雑になって…。外野は勝手にツイートし、無断撮影された画像は炎上する…。ミステリでなく、差別や社会問題を取り上げた作品だった。力作だけど、人種やキャラの差が曖昧で。おいらには、のめり込む事はできなかったな。タイトルもイマイチ。2022/09/01
タナー
12
1991年、15歳の少女が万引きの疑いで責められ女店主に殺害された。少女は背後から頭を撃たれ、左手に2ドルを握ったまま亡くなった。実際に起きたこの事件をもとに、この物語は描かれている。殺害された少女の弟で元ギャングのショーンは、事件から四半世紀が過ぎた今、更正して平穏な日々を送っていた。そんなある日、今度は姉を殺した女店主が銃撃を受け、その後死亡する。犯人として捕らえられたのは、ショーンのいとこで仮釈放中の元ギャング、レイであった....。物語の根底にあるのは"BLM-ブラック・ライブズ・マター" 2022/07/18
一柳すず子
3
韓国人の女性が16歳の黒人女性を射殺という衝撃的な実話がベース。世代を超えた負の連鎖がやるせないが、ショーンとグレイスで何かを変えていけると信じたい。2021/07/31
160/160
2
マイノリティ(そもそも?)家族同士の長い諍いがもたらす色々。イキがったガキ。厚かましいガキ。選択出来ない破壊のもたらす再生という希望は本当に希望と言えるのか?傷が癒えるまで繰し新しい傷を重ねるそんな歴史に、つくづくまともな人間でありたいとばかり思う。2021/07/11
中海
1
YGというコンプトン(LA)出身のラッパーのWikiに「レイシスト(アジア圏)」と書かれていて(現在は削除)当時はショックだったが、住んでる人からすれば「住んでもいない人間が口を出すなや」ってことかと思う。この文庫を読むと、同胞が一人の人間としてではなく、人種的に差別迫害暴力を受けることの対する怒り、その行方「現代バージョン」ってな感じ。物語の最後は、人種の偏見をやめて人間個人として捉えないことには、争いはなくならない、と双方が感じ、結構いい本だと思ったよ。2022/01/13