出版社内容情報
クリス・ウィタカー[クリス・ウィタカー]
著・文・その他
峯村 利哉[ミネムラ トシヤ]
翻訳
内容説明
誰もが顔見知りの小さな町トールオークス。深刻な犯罪とは無縁のこの町で、嵐の晩に、三歳の子供が忽然と消えた。全米の注目を集めたこの失踪事件は、住民総出の捜索でも警察の捜査でも、手がかりすら出てこない。絶望に抗いながら捜し続ける母親。そして、町の住民たちそれぞれが抱えていた秘密が次第に明らかになっていくなかで、意想外の真相が姿を現して―CWA新人賞受賞の傑作ミステリ!
著者等紹介
ウィタカー,クリス[ウィタカー,クリス] [Whitaker,Chris]
ロンドン生まれ。ロンドンの金融街シティで10年間、ファイナンシャル・トレーダーとして働く。2016年刊の『消えた子供―トールオークスの秘密』がデビュー作で、翌年の英国推理作家協会賞新人賞(CWAジョン・クリーシー・ダガー)を受賞。イギリスのハートフォードシャー在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のぶ
86
子どもが行方不明になるサスペンスは珍しくないし、過去に多く読んできた。本書も冒頭、嵐の晩に、三歳の子供が忽然と消えるところから始まる。その後、警察の捜査となるのだが、描写の重点がそちらに置かれず、同じ町に住む人々の行動が物語の中心になってくる。ミステリーの群像劇と表現すればいいのか?町の住民たちそれぞれが抱えていた秘密が次第に明らかになっていくなかで、事件の持つ性格が浮かび上がってくる。今迄にあまり読んだ事のないタイプの小説で面白いが、謎解きより人々の群像劇の方が興味深かった。2018/12/26
ゆのん
78
富裕層が多く住む都会から外れた自然豊かな町で3歳の子供が攫われた。日頃、鍵もかけない平和な町は騒然とする。犯人探しもだが、何よりも町の住民達の抱えている秘密が徐々に明らかになってゆくのが面白い。ページ数は少し多目だが一気に読める内容だった。1172019/04/13
タツ フカガワ
77
小さな町トールオークスで3歳の男の子ハリーが嵐の夜に忽然と姿を消す。しかし手掛かりは皆無で捜査は進まない。物語はハリーの母親ジェスや警察署長ジムをはじめ、町に住むいくつかの家族や男と女が抱える苦悩を描きながら進んでいく。そして彼らが迎えるそれぞれの結末とハリー事件の意外な犯人、と見事なミステリーでした。なかでも高校卒業を間近に控えたギャングに憧れるマニーが最高! 全体に重たい内容のなか、彼が出てくると思わず笑いが漏れるキャラクターで、またどこかで会いたい魅力的な少年でした。2023/02/13
星落秋風五丈原
69
誰もが顔見知りの小さな町で、3歳の子供が忽然と消えた。住民総出の捜索でも警察の捜索でも、手がかりすら出てこない。母親は絶望に抗いながら捜し続けるが、やがて町の住民たちそれぞれが抱えていた秘密が明らかになり。『鹿狩りの季節』同様コミュニティの面々がそれぞれ秘密を抱えている設定の群像劇。犯人は意外でしたよ。『終わりなき夜に少女は』も少女の失踪で町の群像劇でしたね。このパターンがしっくりくるのかな。2023/07/13
あさうみ
47
読み始めて漂うのは、陰鬱なことこの上なし…。幼児失踪事件が軸に腹の内が見えない人物たち大集合。誰が事件に関わってるのか煙にまかれる。唯一の救いは小粋なマニーか。幼児失踪事件の他、多くの人生が揺れ動く。喜怒哀楽が混ざり合っているのは確かですが、もうちょっと明るい気分で読み終わりたかったなー2018/10/24