出版社内容情報
内容説明
世界はどこへと向かうのか?各地で多発する民族紛争と文明間の軋轢の本質とは何か?著者は世界を、西欧・中国・日本・イスラム・ヒンドゥー・スラブ・ラテンアメリカ・アフリカの八つの文明に分け、冷戦終結後の様々な紛争をこれら異文明間の衝突ととらえた。各界に大きな衝撃を与え、侃々諤々の大議論を呼んだハンチントン仮説のインパクトは、21世紀の今も全く色褪せることがない。
目次
第1部 さまざまな文明からなる世界(世界政治の新時代;歴史上の文明と今日の文明;普遍的な文明?近代化と西欧化)
第2部 文明間のバランスのシフト(西欧の落日:力、文化、地域主義;経済、人口動態、そして挑戦する文明圏)
第3部 文明の秩序の出現(文化による世界政治の構造変化;中核国家と同心円と文明の秩序)
著者等紹介
ハンチントン,サミュエル[ハンチントン,サミュエル] [Huntington,Samuel P.]
1927年アメリカ・ニューヨーク生まれ。アメリカを代表する国際政治学者。ハーヴァード大学教授や国家安全保障会議の安全保障政策担当のコーディネーターなどを務めた。2008年に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
21
失敗したなぁ、もっと早く読んでおけばよかった。名著だと思う。が、これは後知恵か?20年前に、この本を読んでも同じ感想をもてただろうか。今、読むと、世界を理解するための有用な概念として、実にうなづける。しかも分かりやすい。近年の日本の状況も、この概念である程度、読み解けるのではないだろうか。ハンチントンが未来を予言した?それとも単に彼が20年早かったのか。2017/09/15
しろくまZ
11
冷戦後の世界を、イデオロギーではなく、宗教や文化を含めたアイデンティティの対立の時代として捉え提示している。元になる論文1993年に発表されたようであるが、その後の世界情勢の動向を概ね正確に捉えている。ウクライナとロシアの関係についても文明パラダイムに基づき分析・予測をしており、国家パラダイム的な見方をするミアシャイマーをかなり批判している(P51あたり)。しかし、ウクライナ戦争が発生した現在、ミアシャイマーが正しかったことは明らかである。文明論的な見方とリアリズム的な見方の両方が必要とされるのであろう。2024/12/28
ふぁきべ
8
あたらしく文庫化された本だが、98年に出版された本。世界の文明を7つ(西欧、中国、アフリカ、日本、イスラーム、ヒンドゥー教、東方正教会)に分け、それらが国々がグループを作るうえでの基軸となり、その文明間の境目が紛争に起きる場所になるかもしれないと説く。そして非西欧地域はそれまで西欧化と近代化を一緒に「押し付けられて」きたが、必ずしも近代化は西欧化を伴わず、西欧化に対して反発が生まれ、西欧的である必要性がないと気づき始めたという。これだけ聞けばさもありなん、と思うのだが、著者の言う西欧が押し付けてきたものと2017/09/14
Mihoko
6
世界を「文明」という角度から捉えた内容。 まず、半分、読みました。 古い本なので、今まで新聞やニュースで報道されていた各国の動きが「そういうことだったのか!」と納得したり、自分がいかに無頓着だったかを思い知る書籍でした。 下巻を読むのが楽しみです。2020/07/31
山目
6
20年も前なのに現在に当てはまる。トランプ政権によりアメリカは自ら凋落を認め、中国は覇権を目指す。イスラムやロシアも騒ぎを起こしている。繰り返しが多く少し読みにくが、興味深い考察です。ペースを落としゆっくり下巻へ。2017/11/26