出版社内容情報
好評だった『ゲルマニア』の続編。ユダヤ人元刑事オッペンハイマーが友人の無実を晴らすため殺人事件の真相を探る。一方、不穏な秘密結社の影が……。ベルリンの断末魔に息が詰まる。(解説/北上次郎)
ハラルト・ギルバース[ハラルトギルバース]
酒寄 進一[サカヨリシンイチ]
内容説明
1945年、敗戦の色が濃くなるベルリン。ユダヤ人の元刑事オッペンハイマーは、アーリア人の妻と別居し、身分を偽って潜伏していた。そんな折、ナチ親衛隊の首なし死体が発見される。殺人容疑をかけられた友人ヒルデを救うため、オッペンハイマーは決死の行動に出るのだった。しかし、オッペンハイマーが追う手掛かりを、怪しげな秘密結社「オーディンの末裔」も狙っていた…。ドイツ・ミステリー界の至宝、渾身の作!
著者等紹介
ギルバース,ハラルト[ギルバース,ハラルト] [Gilbers,Harald]
1969年生まれ。ドイツのアウグスブルクとミュンヘンの大学で、英文学と歴史学を学ぶ。その後テレビ局で文芸部編集部員として勤務。現在はフリーの舞台監督として活動している。ミュンヘン近郊のエアディング在住。デビュー作『ゲルマニア』で、2014年フリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
前作の「ゲルマニア」に引き続いての終戦時近く1945年のベルリンでの出来事を書かれています。いい評価とあまり高くない評価とに分かれるようです。私はどちらかというとこのシリーズの作品には当時のドイツの状況を知るためということもあって楽しませてもらいました。話の筋というよりも期待する部分が異なります。ただ最後の方で続きがあるような書き方で少し肩透かしのような感じですが、第3作の「終焉」につながるのでしょう。今秋には第4作も発表されているようで私は期待しています。2018/10/04
神太郎
35
終戦間際のナチス・ドイツ下で元刑事でユダヤ人のオッペンハイマーが事件解決に奔走するシリーズ第二弾。前作やや苦戦した印象があったので今回も苦戦するかと思いきや、前作よりはスラスラと読めた。今回も事件とは別に戦時下という特殊な環境下が緊張感を際立たせる。しかし、ミステリーとしてはすぐにこうじゃないか?と思うし、秘密結社オーディンの末裔が物語にとってはそこまで絡んでこないのが少しもったいないと感じた。ストーリーのテンポは前作よりはこっちのほうが好みかな。2022/07/08
ばんだねいっぺい
31
「ゲルマニア」読了後から発売をずっと待ち焦がれていた。待ち焦がれていた分、期待値が上がったところに続編、嫌な予感を裏切り、相変わらずの見事な筆さばきに大いに楽しませていただいた。この作者の別な物語があれば、それも読んでみたいなぁと思います。2016/09/17
星落秋風五丈原
30
前作で共に事件解決にあたったSS将校フォーグラーとどこかで再会するのか?と思いながら読み進んだがその展開はなし。不都合な真実を知ってしまったために死を偽装して名前を変えて生きるオッペンハイマーと絡むのは、友人の医師ヒルデだ。ナチスドイツへの過激な発言も辞さない彼女の結婚相手はバリバリのナチ親衛隊。クリフハンガーで終わった第二作。三作目ではいよいよ悲惨なことになるベルリンで、ヤク中刑事の推理譚になっていたら嫌だなぁ。友を想う気持ちと正義感が打ち克ってくれることを願う。2019/01/02
RIN
28
1945年のベルリンが舞台。ユダヤ人の元刑事オッペンハイマーが戦時下の殺人事件を追う『ゲルマニア』続編。解説で「前作には及ばない」とまで書かれるとは!と恐々読み始めたものの、前作に勝るとも劣らない十分な読み応えで大満足。解説の人はミステリ評論家から出発した人だからかも。今回オッペンハイマーは殺人犯として逮捕された友人を掬うため弁護士の調査員的役割を果たす。戦時下ならでは、しかもナチス統制下のドイツならではのミステリは興味深いし、何より日本と共に敗戦国となったドイツの戦時下状況が興味深い逸品。超おススメ!2018/04/30