出版社内容情報
気弱な古書商が出会った本は、なんとシェイクスピアの正体を決定づける奇書だった!? 余白にある謎のサイン、命を狙う追っ手。果たしてこの本は本物か? 極上ビブリオ・ミステリ。(解説/穂井田直美)
内容説明
かのウィリアム・シェイクスピアは果たして本物か―気弱な古書商ピーターが手にした本は、世界を揺るがす大論争に決着をつける奇書『パンドスト』初版本だった。癖のある書き込み、亡き妻そっくりの謎の肖像画と共通する“B・B”のサイン。やはり偽書なのだろうか?本物であることを願うピーターは真贋と“B・B”の調査に乗り出すが…。冒険あり、歴史あり、愛と涙あり。エンタメ・ビブリオミステリの傑作!
著者等紹介
ラヴェット,チャーリー[ラヴェット,チャーリー] [Lovett,Charlie]
1962年、米ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム生まれ。作家、教師、児童演劇の劇作家。英文学者の父の影響を受ける。一時期、古書取引にかかわっていたことがあり、ルイス・キャロルに関連する希書と資資料の蒐集を25年にわたって現在も続けている。現在はイギリスオックスフォードシャー州キンガムの両方に居を構えて暮らしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
83
題名が古書奇譚、舞台がイギリスで気になるので読んでみた。面白かったのは次の場面:中世風挿し絵『チョーサー著作集』を見るため特別蒐集室へ行ってから、アマンダとピーターがキスしアマンダが心から嬉しくて笑い、アマンダがピーターに「弱虫くんと堅物ちゃんがお互いにのぼせあがって、稀覯書室でいちゃいちゃしてるなんてね」という愛の告白はうぶな二人にぴったりでなんとも微笑ましい。そして中盤辺りからシェークスピアの古書についてのミステリーが加速していくのも上手いが、自分的には他にもあるアマンダの気の利いたセリフが良い。2023/04/21
ケロリーヌ@ベルばら同盟
46
「ハムレット」「真夏の夜の夢」「ロミオとジュリエット」…。多岐の分野に渉る専門知識と、複数言語の原典からの引用、宮廷生活への精通度。かくも深い教養を窺わせる戯曲群は、真にW.シェイクスピアなる人物の作品であるのか?物語を生み出す苦しみが綴られた一葉の手紙、推敲の跡が残る一折の書物が発見されれば、それは英文学会に於ける『聖杯』となる。エリザベス朝に書かれた一篇のロマンスの遍歴を巡り、三つの時間が交叉する。稀覯本、ラファエル前派、大英博物館付属図書館、特別蒐集室。時の流れに魅惑的なテーマが鏤められた蠱惑の一冊2019/04/21
星落秋風五丈原
31
物語は1.ピーターが調査する現在パート2.ピーターと愛妻アマンダの出会いから始まる近過去パート3.『パンドスト』が様々な人の手を渡る過去パートに三分される。必ずしもこの順番で進行するわけではないが章の最初に大きく年代が記載されているので混乱しない。1と3が並行して書かれるため「1」の現在パートで主人公達があれこれ悩んでいる事には「3」で比較的すぐに答えが出る。「では読者は主人公がいつそれに気付くかを待つだけ?」と不満に思われるかもしれないがこの本が国の施設に入っていない事からも素直な道筋を辿っていない。2016/01/03
Nat
26
設定はとても面白い。いくつもの時間軸で描かれているので、めまぐるしく舞台が変わる。魅力的な題材で物語としてはとても興味深いが、主人公にあまり共感できず、好きになれなかったのが残念。2020/05/26
棕櫚木庵
23
ここで紹介してもらって読んだ本.古書と,やっと出会えた恋人によって世界との繋がりを獲得してゆく青年.シェイクスピアを中心に,ラファエロ前派や,トマス・ワイズなど古書にまつわる話がちりばめていて(偽書の作り方も書いてあります^^;),書物好きには楽しい.▼たくさんの逸話を背景に伏線が張られる物語は,時として作者の“ドヤ顔”がちらついて嫌な感じになることがあるけど,本書はそれもなく楽しく読めました.ただ,最後の方は,帳尻合わせに忙しくなった感もあって,ちょっと残念.2020/07/04
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