出版社内容情報
CWA賞にもノミネートされた実力派ユーモア・ミステリー。タイのリゾートで仕方なく働く、失業中の女性記者ジム。砂浜で生首を見つけたことから、この国が内包する差別貧困問題に巻き込まれる。
内容説明
失業中の犯罪報道記者ジム・ジュリー(♀)。母の経営するリゾートを仕方なく手伝う毎日だが、ある日、砂浜で生首を発見。村長に連絡するも、その対応に疑問が残り、独自に生首の身元を探そうとする。やがてジムは、タイに暮らすミャンマー人コミュニティに行き着き、事件はさらに暗い様相を示すのだが…。個性溢れるキャラクターにたっぷりのユーモア。CWA賞受賞作家が描く、社会派ユーモア・ミステリー登場!
著者等紹介
コッタリル,コリン[コッタリル,コリン] [Cotterill,Colin]
1952年ロンドン生まれ。教師になる教育を受けた後、イスラエル、オーストラリア、アメリカ合衆国、日本、タイ、ラオスなどで教員やカウンセラー、講師として働く。児童買春・ポルノと闘う組織を立ち上げて活動する一方で、小説やカートゥーンを創作しつづけている。2009年CWA図書館賞受賞。現在は妻とタイ南部に暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
48
冒頭のつかみは浜辺に流れ着いた頭部でインパクト抜群なはずなのにいまいち緊迫感も臨場感すらともなわない。警察を含めたタイの人々がそういった犯罪に関心を払わない様が読む側の関心を阻害するのか?しかし物語はどんどんよく鳴る法華の太鼓!そうした状況と読者の無関心をも同じ俎上にして作中ジムは事件の解決?いや事件として公に認知させようと奮闘するというおはなし。いやおはなしではなく実際のところこういった人種差別的な搾取が行われているんだと、作者の声が聞こえた気がします。2015/06/14
のぶ
32
タイを舞台にしたミステリーを初めて読んだ。近来は北欧やドイツ系を、読むことが多くなっているので新鮮だった。犬と散歩している時に人の生首を見つけるところから始まる。ユーモア色の強い作品だけど、とにかく雰囲気がのんびりしている。これはお国柄も反映しているのだろうか?他の作家に当て嵌めると、カール・ハイアセンに似ているような気がする(あそこまで奇人は出てこないけど)。たまにはこんな作品も良いですよ。2015/08/15
Panzer Leader
27
[第60回海外作品読書会(4月8日・9日)]シリ先生シリーズに続いてコッタリル3作目。いやー、これも面白かった、最高!タイとミャンマーの社会情勢の暗部を描いているのに、全く暗さを感じさせず、のんびりとしたユーモアに包まれた語り口で、悪人をも含めたキャラ達の先の読めない言動がひとつひとつ可笑しい。登場人物全て濃いキャラだけどジムのママが最高に笑える。どなたが書いていたが正に「抱腹絶倒の社会派ドラマ」の傑作。シリ先生シリーズも含めて次の作品を是非出版して欲しいなあ。2016/04/14
み
24
ジャケ読みした初読みの作家さん。最初キャラの性別の設定に混乱(>_<)タイに行ったとき、確かに女子風な男子を日本よか高確率で見たようなと思い出しました。お話しは、強烈なキャラに圧倒されたものの面白かったです。ビルマとタイにも問題があるのねぇ。2017/07/13
わたなべよしお
23
力を抜いて楽しめる良い本だ。ハードな事件が起きるわけでもない(社会的には大問題だけど)けど、何と言っても登場人物たちが実に魅力的だ。主人公のジムはいうまでもなく、その母、姉(兄?)、ゲイの警察官、祖父…、みんな大好きになった。さらに、ラストのサプライズも笑ってしまった。2015/03/26