出版社内容情報
1957年バルセロナ。青年ダニエルと友人フェルミンは書店員として生活していたが、実はフェルミンには監獄での壮絶な過去があり…。人々の因縁を巡る、『風の影』で世界的ヒットを博したシリーズ第3弾。
内容説明
1957年、バルセロナ。父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。18年前、監獄に収容された事。そこで出会った作家マルティンの事、彼と交わした約束の事―『風の影』『天使のゲーム』をつなぐ、「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!
著者等紹介
サフォン,カルロス・ルイス[サフォン,カルロスルイス] [Zaf´on,Carlos Ruiz]
1964年、スペインのバルセロナ生まれ。93年のデビュー作『霧の王子(El Pr´incipe de la Niebla)』で、エデベ賞を受賞。5作目の小説『風の景』でフェルナンド・ララ小説賞準賞(2001年)、リブレテール賞(02年)、バングアルディア紙読者賞(02年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
135
失われた本の墓場シリーズ三作目。スペイン内戦でのフェルミンの過去を聞かされたダニエルは、身元救出のために奔走する。モチーフは『モンテクリスト伯』で、半分が監獄生活に費やされており、内戦を生きた「何者でもない」人間たちが活写されている。臭気を強調した空間描写が目立つのも特徴的。財宝や復讐心よりも「社会の敗者のために戦えればいい」という世俗レジスタンスへの共感が強く、救出劇は至って順調、更に謎も膨れ上がる一方で、作品単体での充足感はあまり得られなかった。著者が遺した最終章の「ビッグサプライズ」に期待が膨らむ。2021/09/02
ペグ
69
サフォンとはなんと巧みな作家なのでしょう〜(センペーレと息子書店)と(本の墓場〜一度は足を踏み入れたい!)を巡るサスペンスでありミステリーでありロマンスです!この「天国の囚人」では、軽妙洒脱で、素晴らしく機転の利くフェルミンの過去が明かされます。うっかり者のわたしは二作目の「天使のゲーム」を飛ばしてこちらを読んでしまったけれど、それぞれが最終的に大きな1本の大木になる仕組みなのでは〜?と。暗いのに明るい。凄惨なのに希望がある。このバランス感覚!次は二作目に戻るとしましょう!この物語に魅了されてます!2018/02/11
財布にジャック
60
四部作の三作目の作品で単独で読んでも充分に楽しめそうですが、やっぱりシリーズを通して読むと面白さ倍増は間違いなしです。私個人も、前作、前々作と読んだのがだいぶ前なので、うろ覚えで、これは最終的に次作の最終巻の発売と同時に全作一気読みが必須なようです。まだ謎が尾を引いているので、スッキリと晴れない読後感ですが、フェルミンの冒険とも言える今作は期待以上の出来だと感じました。最終巻ではダニエルが主役かなぁと…考えるだけでワクワクします!2015/01/14
タツ フカガワ
58
“忘れられた本の墓場”シリーズ3作目は、1作目『風の影』から続く物語。「センペーレと息子書店」に男が訪れ、フェミニンに謎のメッセージを残していく。やがて監獄に囚われていた過去を語り始めるフェミニン。その監獄には前作『天使のゲーム』で国外に脱出したはずのダヴィッド・マルティンが囚われていた。さらに二代目センペーレの妻にしてダニエルの母イサベッラの不可解な死の真相が明らかになる。三代にわたる「センペーレと息子書店」をめぐるサーガの最終巻へ橋渡しする本書ですが、4作目は原書の上梓から6年後のいまも未訳。残念!2022/01/20
Willie the Wildcat
56
監獄長と(天使の)”囚人”の間を埋めるイサベッラの死の意味。守護神フェルミンの囚人への義の背景。加えて、サルガドの隠し金の行方も意味深。更に、時系列で考えると、フリアンとマルティンの交錯も十分に考えられる中での因縁。謎多き顛末は、次作へ持ち越しとのこと・・・。(涙)しかもその次作は昨年11月に地元スペインで発売も、日本語訳発売未定?完全に錆びついたスペイン語で覚悟を決めて読むか、日本語訳を待つか。悩ましい。蛇足だが、フェルミンがまだ墓場の番人じゃないんだなぁ。時系列整頓は必須。2017/04/20