出版社内容情報
大晦日、“自殺の名所"の高層ビル屋上で鉢合わせした失意の男女4人。互いの不幸を語り合ううち、もう少しだけ生きてみようかということになるが……。ぼやきを勢いの言葉で綴る英作家の真骨頂。(解説/三橋曉)
内容説明
大晦日、ロンドンの飛び降り自殺の名所、トッパーズ・ハウスの屋上で、人生に別れを告げようとして上った失意の男女4人が鉢合わせをする。互いの身の上を語り合ううちに、期間を決めて、もう少し生きてみようかという話になり…。全く違うタイプの男女4人が次第に奇妙な友情をはぐくみ、もう一度人生と向き合おうとする姿を、個性豊かな各々の独白でユーモアたっぷりに描く。
著者等紹介
ホーンビィ,ニック[ホーンビィ,ニック] [Hornby,Nick]
1957年イギリス生まれ。1992年、大ファンであるアーセナル(プレミア・リーグ)への偏愛を描いた自叙伝的作品『ぼくのプレミア・ライフ』でデビュー。1995年『ハイ・フィデリティ』が大ベストセラーとなり、一躍人気作家に。1998年発表の『アバウト・ア・ボーイ』もふくめ、作品の多くが映画化されている。映画『17歳の肖像』の脚本も手がける。1999年、米国芸術文学アカデミーのE・M・フォースター賞を受賞。2012年、スポーツ文学の分野における長年の功績に対して、英国スポーツ文学賞貢献賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nuit@積読消化中
71
ロンドンの自殺の名所トッパーズ・ハウスの屋上で偶然鉢合わせとなった4人の自殺志願者。それぞれの一人称による独白がウィットに飛んでいて、これは活字よりも映像で観たら面白いんだろうなと思っていたら、既に日本未公開で映画化されているという。ロックネタ満載だったりと雰囲気も素敵です。ただ…ちょい長かった〜〜かな(苦笑)。2017/05/07
キキハル
25
自殺の名所、トッパーズ・ハウスの屋上で偶然出会った見ず知らずの4人。共通点も何もない各人が一人称で語る文章は、少々読み難かったが引き込まれる。愚かで下品で関わりたくないのに、また集ってしまう彼ら。誰だって心の中に自分だけのトッパーズ・ハウスを持っている。それを見上げては迷い、階段の途中で引き返したり、屋上まで登ってみたり。結局その屋上は最後の砦なのだろう。振り返り、考え、決意するための。人生を降りるか、階段を降りるかの。読んで面白かったかといえば微妙だが、4人と顔なじみになったのは悪くないと思っている。2014/06/15
たみ
18
自殺するために上ったビル屋上で同じ目的の人間が偶然4人はちあわせ。4人の独白が交代でこれでもかと続いていく物語。彼らが出会ったからといって問題は解決はしない、鼻白む、悪くなったりする。時には必要ではあるだろうけどソレ言って現実がどうにかなるの?的なキレイごとを鼻で笑うような空気感で、事実彼らの実情はどうにもならないんだけれども、そこんところがむしろ潔い感じがします。間がさした時に誰かと出くわしてダラダラと流されてるうちにタイミングを逃して歩き続けざるを得ないような、それも救いなのかな。2015/11/07
ケイティ
18
とりあえず手に取るホーンビィ作品。大晦日に飛び降りようと偶然同じ場所で遭遇した4人の物語。誰もかれも自分勝手でどうしようもない。このザ・イギリスのシニカルさが好きですが、これはなかなか時間がかかって、どんどん面倒くさくなってしまった。何度となく挫折しかけたが、じっくりでなく流し読みするとどうにかリズムが合う。決して褒められた人たちではないけど、人間味溢れてて何だか見届けてしまう。面白かった!とはならないしオススメもしにくいけど、彼の作品はいつも待ちどおしい。2014/08/20
ブラックジャケット
12
ちょっと洒落た設定が気に入った。大晦日のロンドン、自殺の名所となっているビルの屋上に集まる自殺願望の四人の男女。なんともシニカルな幕開け。スキャンダルで失脚したテレビ司会者、副大臣を父に持っているが、ぶっ飛んだ性格の美大生、植物状態の息子の看護に疲れた母親、ミュージシャンの夢が破れたピザ配達人。それぞれいわくがあり、悩ましい。しかし各自の視点にそった口語体のスピーディな文体について行けない。多分現代イギリス事情を踏まえたギャグが多いのだろう。辛抱して最後までつきあったが、久しぶりに疲れた読書となった。 2020/12/27