出版社内容情報
50年前、フィロミーナは幼い息子と修道院で暮らしていたが、修道女が強制的に息子を養子に出してしまう。年月を経ても息子が忘れられない彼女は、探し出す決心をする。感動の実話が映画化。
内容説明
1952年、アイルランド。未婚のまま妊娠したフィロミーナは“堕落した女性”という烙印を押され、女子修道院に収容される。修道院の中で息子アンソニーを出産するが、3年後、息子を強制的にアメリカに養子に出されてしまう。アメリカでは恵まれた環境に育ち、高い教育を受け、裕福な生活を享受するアンソニーだが、成長するにつれ、アイデンティティについて悩み始め…。50年、互いを捜し続けた母子の実話。
著者等紹介
シックススミス,マーティン[シックススミス,マーティン] [Sixsmith,Martin]
イギリスのチェシャー州生まれ。オックスフォード大学、ハーヴァード大学、ソルボンヌ大学で学ぶ。1980年から1997年まで、BBCの特派員として、モスクワ、ワシントン、ブリュッセル、ワルシャワで活躍。1997年から2002年までイギリス政府の報道官を務める。現在は、作家、ジャーナリストとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルラ
22
映画ではフィロミーナの息子アンソニーの歩んだ道は最終場面でざっくりとしか語られていなかった。けれど原作を読んで彼の人生がいかに苦悩と成功とが混ざり合った複雑なものだったのがわかった。時代の波に翻弄された親子の別離と再会の物語。実話であることの重さが胸を打つ。2018/06/16
ねむ
18
カトリック教会が絶大な力を持つアイルランドで、かつて未婚の母たちは堕落した存在として強制的に教会の施設に収容され、出産の費用を払えない娘は強制労働させられ、赤ちゃんは奪われて外国人養父母に売り飛ばされた。そうしてアメリカに渡った男の子が、アイデンティティ喪失に悩まされながら愛を求め、政界でのしあがり、母を探す。実話に基づきその人生の局面すべてを深く掘り下げた力作。反同性愛政策によるエイズ被害の拡大や、巨大な力の前での個人の苦悩と妥協など多岐にわたるモチーフで読みでがあった。最後は切なくて胸がえぐられます。2022/08/21
rokoroko
7
あやまちから妊娠し、修道院で出産。その子供が母親から引き離され、アメリカに養子としてわたっていく。その生涯の話。私が、35年位前、貧乏で南周りでスイスに行った時、北欧系の人々が産まれて間もない赤ちゃんをかごに入れて、スリランカから、乗ってきた.養子だと言っていた。CAに聞くと「私もインドからシンガポールに貰われてきた。洪水や災害で本当の親は育てられないと聞いた。この子たちは食べられるから幸せ」と話す。世界のどこにでも、今でも、ある話なのだろうが、個々の苦悩や人生は辛い。2014/07/20
まやま
4
映画評で興味を持ち手に取ったが、主人公の波乱の人生にぐいぐい引き込まれ、2日連続で夜更かしして読了。訳者あとがきに書かれているように、主人公の人生は時代の影響を大きく受けていて、私も忘れていたその時代の雰囲気を思い出した。今やエイズは(先進国においては)薬のおかげで死の病ではなくなったが、90年代にはエイズは未知の恐れられる病で、同性愛者への偏見と差別も大きかった。そうした時代を思い返す意味でも読んで良かった。映画は未視聴だが、映画では異なる観点から描かれているそうだ。2014/05/11
ハレ
3
映画を先に鑑賞。後で原作を読む。あまりにも波乱に満ちたマイク(アンソニー)の人生を読んでいるうちにのめり込んでしまい、なぜか映画のディテールを思い出せなくなってしまった。それにしてもいったい宗教、神、教会とは何なのか、、悩める人間を救ってくれるものではなかったのか、、色々なことを問いかけてくれる物語だ。最後にマーティンがマイクの父親を追跡すると記述がある。これも物語になるならぜひ読んでみたい。2021/12/25