出版社内容情報
禁酒法時代のアメリカを舞台に、密造酒の製造を生業とする三兄弟の絆と生き様を描いた、実話に基づく長編小説。アメリカの原風景を活写した物語性豊かな傑作と世評高い。映画原作。
内容説明
禁酒法下のアメリカ南部バージニア州では、「不死身」とうたわれたボンデュラント三兄弟が密造酒の製造・販売をおこなっていた。しかし、当局の締め付けが厳しくなっていき、やがて血で血を洗う抗争に発展、州を揺るがす裁判事件となる…。実話をもとに、著者の実の祖父であるジャックと二人の兄弟の絆と逞しい生き様を描き、アメリカの原風景を活写したと世評の高い、物語性豊かな傑作長編。
著者等紹介
ボンデュラント,マット[ボンデュラント,マット] [Bondurant,Matt]
アメリカ、バージニア州生まれ。デビュー作『The Third Translation』が国内外で高く評価され、二作目である『欲望のバージニア』はニューヨーク・タイムズ・ブックレビューのエディターズ・チョイス賞を受賞し、映画化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Porco
10
抑え気味の文体が、ちょっと私にはわかりにくかったです。。。2024/12/21
たかすみ
4
酒の密造をする三兄弟とそれを取り締まる(と言ってもやってることはヤクザがみかじめ料をとる感じ)検事、保安官らの抗争がメインストーリー。本書は構成が特徴的で、この抗争の果てに起こった殺人の裁判を、実在の作家が調査していく(時系列を遡る)章を間におくことで、ミステリ的な謎を作り出している。その殺人の犯人と動機について、作中では有力な犯人が述べられているが、果たしてそれが真実かという点でやや曖昧な記述。これによって、物語全体に伝説的雰囲気を与えている点が面白い。2013/08/24
キヨ
3
映画が面白かったので原作も。表紙…ハワード兄ちゃん入れてあげて…。映画では「お前はもう埋まってろ」と思ったジャックですが、原作では映画と比較すると好感度+2。ハワード兄ちゃんに至っては+50くらい。マギーとフォレストの好感度はストップ高。揺るがない。大変な時代だったんですね。貧困のなかにある密造酒という存在が興味深い。2015/10/30
あぐり
3
1920年代から30年代の、フランクリン群で密造酒造りに関わっていた3兄弟が主人公である。この小説の中で作り出されている空気は、鎖骨より下をきりきり締め付けてくるほど、乾いていて容赦がない。自然は人にとって生易しいものではない。貧しさほど人を拘束するものはない。途方もない重労働と、繰り返す日々の無味乾燥な人生。その中で、密造酒とは、彼らの中でどう存在していたのだろう。また、3兄弟がまったく異なった存在で、それぞれ複雑で、長兄ハワード、次男フォレストの二人には、心を揺さぶられることが多かった。映画も観たい!2013/11/18
たみき/FLUFFY
2
三男ジャックの実孫が作者ではあるが、この作品を書き始める前にジャックは他界していたそうなので、完全な実話ではなく、関係者から聞いた噂、当時の記事などを元にしているという。実在の作家で関連事件を調査していたらしいシャーウッド・アンダーソンを登場させ、事件当時とその後を行き来することで、若干推理的な要素も持たせている。ただ、それが物語のテンポを停滞させているような気がして、最後までノり切れなかった。次男フォレストは映画よりこちらの方がよりミステリアス。ちなみに、レイクスは映画のようなビジュアルではありませぬ。2013/06/30