出版社内容情報
極寒の地を舞台に描くノワール・サスペンス
雪原に横たわる女性の惨殺死体。捜査にあたったカリ警部の元妻を奪った男が容疑者として挙がるが、第二、第三の殺人が起き……。フィンランドのお国柄を秀逸に浮かび上がらせるミステリー。
内容説明
フィンランド郊外の村の雪原に横たわる惨殺死体。被害者はソマリア移民の映画女優で、遺体には人種差別を思わせる言葉が刻まれていた。容疑者として浮上したのは、捜査の指揮をとるカリ・ヴァーラ警部から妻を奪った男。捜査に私情を挟んでいると周囲に揶揄されながらも真相を追うカリだったが、やがて第二、第三の殺人が起きてしまう。暗闇と極寒の地を舞台に描く、フィンランド発ノワール・ミステリー。エドガー賞、アンソニー賞、ストランド・マガジン批評家賞ノミネート作。
著者等紹介
トンプソン,ジェイムズ[トンプソン,ジェイムズ][Thompson,James]
アメリカ生まれ。現在はフィンランド人の妻とともにヘルシンキに住む。バーテンダー、クラブのガードマン、建設作業員、兵士など、さまざまな職業を経験した後、作家に転向。2009年に発表した本作でエドガー賞やアンソニー賞などの新人賞にノミネートされ、注目を浴びる。ヘルシンキ大学でフィンランド語を学び、また英語文献学の修士号を取得。英語はもちろん、フィンランド語も流暢に操る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
109
フィンランドのミステリ第1作。ソマリアからの難民である若い黒人女優の虐殺死体が発見されるが、その肌には人種差別を疑う文言が刻まれていた。それにしても主人公の女運の悪さ、というか見る目のなさに唖然とする。顔で選んでるからじゃねえの?初めの妻は主人公が銃弾を受けて入院している間に他の男と蒸発するし、2番目の妻は社会的地位がある人なのに妊娠中一人でスキーにいって大腿骨骨折して雪の中に長時間放置の末に主人公に当たり散らすは、その世話に主人公が頼んだ同僚の息子である世話係の少年の目がきもいから嫌だとかわがまま放題。2019/01/07
ケイ
84
先に読んだこの作者の二作目と比べ、ストーリーが少し稚拙に感じた。最初の殺人現場の衝撃度をうまく最後につなげていないように思える。しかし、冬至の頃の闇の深さと、それが人の精神に及ぼす重苦しさはよく伝わってきた。三作目は予約中だが、その先が読めないのが残念だ。2015/04/10
ナミのママ
78
〈カリ・ヴァーラ警部シリーズ〉1作目。フィンランド郊外、クリスマス前の極夜が続く極寒の中。ソマリア移民で黒い肌の映画女優が殺された。容疑者は警察署長カリの元妻を寝取った男。こんな惨殺な殺し方をよく考えつくものだ。この作品はフィンランドの事情を内・外の両側から見れるとともに移民・人種間問題、宗教と知らないことばかりだった。正義を追求し職務を全うした結果がこんな事になり、カリ警部の今後の刑事人生はどうなるのだろう。フィンランドのミステリ(警察小説)は初読みだが歴史を頭に入れてもう少し読みたい。2024/02/20
キムチ
65
作品もさることながら、筆者来歴、夭折に衝撃。極夜とは2カ月間、陽光を拝めない状態の事らしい。人間が壊れて行くのもむべなるかな・・です。フィンランドは鬱病、アル中、異常な殺人が多く、自殺者も多い。北欧小説は暗いものが多い‥そこに惹かれて読んだ一年だが、これは極め付きだった。カリ警部の人間性、私生活、次々と起きる救いようもない事件。人間である事に嫌気さすような事実が明らかになり、カタルシスへ。着地点すら・・混迷の中だった。忙しさと山行の合間の読書は何とも感想が書けない呪縛の権化ワールド~次なるは明るさが欲しい2019/01/02
goro@the_booby
60
白夜の反対が極夜と初めて知りました。一日中ほの暗い天候と同じような暗鬱な事件でありました。事件そのものも猟奇的だけれどもフィンランドの地方都市ってこんなにも荒れてるのかと驚いた。2016/12/06