内容説明
女王となったメアリーは、カトリック国家維持のためスペイン王子フェリペと結婚。一方、宮廷に戻ったエリザベスは、健康と美を取り戻し人びとを魅了する。悪天候に大凶作、フランスとの争い、民衆を震え上がらせる“異端者狩り”。国民がメアリー女王に反感を覚える事柄が続き、誰もが女王を見限ろうとするなか、エリザベスがとった行動は?女王の道化ハンナの運命は?息を呑む王冠を巡る愛憎劇。
著者等紹介
グレゴリー,フィリッパ[グレゴリー,フィリッパ][Gregory,Philippa]
テレビやラジオのジャーナリスト、プロデューサーの経験もある、イギリスの作家。エジンバラ大学で18世紀文学の博士号を取得。歴史小説の第一人者であると同時に、現代を舞台としたサスペンスにも定評がある。現在は、家族とともにイングランド北部に住む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
131
メアリーとエリザベスのことだけに興味があって、ハンナのところは半ば読み飛ばした。Bloody Maryなんて名前で残されてかわいそうに。エリザベスはその後もあまりに有名だから、メアリーの話をもっと読んでみたくなった。スペインの方から見たヘンリー八世の最初の妻エリザベスとメアリー女王の話なんてあれぱ面白そうだな。全然違う描かれ方をしていそう。ハンナの変わり身の都合良さは、その時々を語りやすくするためだろうが、それがなかった方がもっと話として面白いのになあ 2019/02/11
ねむねむあくび♪
61
下巻もページをめくる手が止まらない面白さだったが。ハンナの物語部分のウェイトが多くなってしまったのが残念。不幸だが優しく気高いと上巻で描写されたメアリーが、ブラッディメアリーと呼ばれるまでに暴走する過程をもっと知りたかった。2018/11/26
ann
52
何故ブラッディ・メアリーと呼ばれたのか、あまりにも壮絶なメアリーの人生がわかるほど、その理由もやぶさかでないが、ヘン八の娘たちはいずれも乱世を生き抜くのに命を掛ける。次作はついにエリザベスがハー・オブ・ロイヤル・ハイネスになるのか…2018/11/25
ぱなま(さなぎ)
22
自分を持ち、なりたい自分になれることは幸運だ。なぜならそう育てられなければ可能性すらあることに気づかないから。まだ子どものうちに嫁にやられ、女だからと碌な教育どころか読み書きすらも教えてもらえない人生。夫に見捨てられたら退屈な世間話だけに時間を費やし、学ぶ意欲も生きる喜びもない。自分の生き方を選ばせる力を与えることだけが親が子に唯一できることなのではないか。人は常に今が一番新しい時代だと信じ続ける。私たちに本を燃やすことはできない。世界の秘密を解き明かし、前に進み続けていると信じる私たちには。2017/12/28
星落秋風五丈原
21
ヒロインの周辺の登場人物たちの濃さったらない。この後第三弾『宮廷の愛人』エリザベスをメロメロにするロバート・ダドリーは、このツメの甘さが『宮廷の愛人』に書かれているような末路を招いたのだろう。作者は随分とメアリ女王に好意的だ。ヒロイン・ハンナの口を借りて、何度も反旗を翻しながら何食わぬ顔で姉の前に現れるエリザベスを「人の夫ばかり欲しがる」と手厳しく冷めた目で見る一方で、不器用で非情になりきれないメアリの優しさを愛でている。だが、優しいからこそひとたび裏切られた時の怒りは激しいのだ。2013/08/26