内容説明
1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる美しき女スパイ・王佳芝は日本軍傀儡政権のスパイのボス・易に近づき、暗殺の機会をうかがっていた。危険な逢瀬を重ねるうちに二人は、死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しく互いを求め合う。時代の大きなうねりの中で、スリリングな愛と二人の運命は…。2007年ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞映画原作。
著者等紹介
チャン,アイリーン[チャン,アイリーン][Chang,Eileen]
張愛玲。1920‐95、上海生まれ。香港大学に入学するが、太平洋戦争勃発で上海に戻り、創作を始める。『傾城の恋』で日本占領下の上海文壇で一躍人気を博す。52年、香港に脱出。その後、渡米。反共小説と目された時期もあるが、近年は中国でも、象徴的手法・巧みな表現が再評価されている。台湾、香港では若い女性を中心に絶大な人気を誇る
南雲智[ナグモサトル]
1947年、新潟県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科(中国文学専攻)博士課程満期退学。東京都立大学人文学部助教授、教授を経て、2005年辞職。東京都立大学名誉教授。大妻女子大学比較文化学部教授。専門は中国近・現代文学。最近はかつて日本の植民地だった北東アジアと日本との比較研究に関心を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぺったらぺたら子
13
男女が触れ合えるのは、お互いに焦点が合うのはほんの一瞬。でも人はついその一瞬の邂逅の為に全てを犠牲にしてしまう。何の為?そうしたわからないものが本当は人生の多くを占めている、という事に我々は小説でも読まないとなかなか気付かないし、その謎の力へと肉薄すること。それが人間を描くという事なのだ。 これはスパイの話でもあるが、勿論、ペルソナを持つ以上、全ての人間はスパイなのだ。 https://booklog.jp/users/hurdygurdyman/archives/1/4087605469#comment2019/03/18
N田
3
話はどれも全然面白くなかったが、巻末紹介の著者の激動人生に興味津々。 2016/03/01
及川まゆみ
2
映画の原作のみ読む。やや読みにくいところもあるが、面白かった。2022/04/21
Porco
2
映画『ラスト、コーション』が面白く、調べてみると、その原作者は中国現代文学史上高く評価されている人だということで、読んでみました。同映画の原作は短編で、本書の表題作。その他に3つの短編を収録しています。そのどれもがなかなかよかったです。2014/10/16
patito
2
「色、戒」は短編コレクションの方が翻訳がよかったような気がします。中国語はまったく分かりませんが・・・全体的に女性の気持ちの揺れのようなものが、うまく丁寧に表現されていました。2011/03/09