内容説明
子供の頃からスパイに憧れていた少女が、難関を突破して念願のCIAに入局―だがそこで彼女を待ち受けていたのは驚き呆れる現実の連続だった。世界最高の情報機関の実態は、機密情報の捏造、予算の浪費ばかりが横行する信じられない無能集団だったのだ。奇妙な入局試験、苛酷な訓練、東欧でのスパイ活動、9・11を経て退局を決意するまでの5年間を自らの体験そのままに赤裸々に公開する。
目次
1 少女のころからの憧れ
2 奇妙きわまる採用試験
3 臨時任務の三カ月
4 苛酷な準軍事的訓練
5 おとぎの国のスパイ演習
6 養成場の最終テスト
7 ブルガリアへの休暇旅行
8 バルカン諸国での諜報活動
9 暴動と小競り合いの渦中で
10 九・一一、同時多発テロの衝撃
11 自分自身を見つめ直す
著者等紹介
モラン,リンジー[モラン,リンジー][Moran,Lindsay]
ハーヴァード大学卒業。ニューヨークの大学院に通った後、英語教師として1年間ブルガリアに滞在。帰国後、1998年から2003年まで中央情報局(CIA)に勤務。作戦部のケース・オフィサーとしてバルカン諸国で諜報活動をおこなう。現在は「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」「USAトゥディ」などに寄稿するフリーランス・ライター。ワシントンDCに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ted
7
CIA作戦部の下級職員として5年間マケドニアで活躍したアメリカ人女性工作員の顚末記。一読して著者のその率直な語り口に好感が持てた。派遣先のバルカン諸国でのブルガリア人やマケドニア人、アルバニア人といった日本では縁遠い民族の相互関係や、気質の違いなどが具体的に描写されていて興味深かった。最終的に彼女が離職せざるをえなかったのは、スパイに対する幼稚な憧れとは裏腹に、親切を装いながら人の弱味に付け込む汚れ仕事に馴染むには、(ハーバード卒の経歴が示すように)彼女の教養と正義感があまりに高すぎたのが原因だと思う。2011/03/17
ちゃーりー
5
著者、レイザー・ラモンもとい、リンジー・モランは、1998年から2003年まで、中央情報局に勤務。優秀なエージェントだったことは、その記述からも伺えます。しかし、たったの5年で、9.11を機に辞める、というところが、ちょっと考え方が甘いんじゃないの、という心情になってしまい、好きになれず。彼女がブルガリアに勤務していた時期は、旧ユーゴが分離独立し、非常に政情不安だったとは思いますが。2022/08/31
雅
4
理想と現実は違うと、身をもって体験した記録書。情報を得るために、身分を偽り、嘘に嘘を重ね、周囲を警戒し続ける。体力的にも精神的にも疲弊しそうだと思った。 また、CIAのような特殊な仕事についている人間には、あまり自由行動ができないものではないかと勝手に思い込んでいたが、意外と個人的理由で自由にしていることが多いように思えた。2020/07/11
やえもん
3
CIAに入る為の訓練の様子や、仕事の内容など事細かにわかる。また、9.11事件についてもわかる。この本によると何も把握していなかったようで、驚いた。出版してもよいのか?という内容でした。2010/04/11
エヌる@遅れてきたルーキー
2
CIAとして働いていた1人の女性の研修~実際の活動を記した一冊。007やトム・クルーズから仕入れたスパイのイメージと現実の差を教えてくれる。実際は現地で人を雇うような話も聞いたことあるし、この本も当然事前にCIAが検閲済みだろうしどこまでが真実かはわからない。むしろこのご時世に情報が漏れてこないCIAはやはり恐ろしい…2020/08/07