内容説明
ブラッド・ピット主演で話題をさらった映画「リバー・ランズ・スルー・イット」の原作。アメリカ、モンタナの渓流でのフライ・フィッシングを背景に展開する、家族愛と兄弟の絆の物語。「人生の物語は、書物よりも川に似ている…」原初的な汚れなき大自然のなかで生きる歓びを、詩人の繊細な感覚をとおして綴った。刊行後絶賛を博し、ベストセラーとなる。若者たちに永遠に読み継がれつづける、アメリカ自然文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポルトン
45
親子、兄弟の関係って近いようで遠いですよね… よく分かってるつもりでも意外と分かってなかったり。 言い出せなかったり… 年齢を重ねると素直に話せることもあるけど… なかなか難しい! 物語の内容は映画「リバー・ランズ・スルー・イット」とほぼ同様だったので原作に忠実だったんだなと実感! 釣りがしたくなりました♪2018/05/05
AICHAN
33
図書館本。再読。『リバーランズ・スルーイット』の原作本。フライフィッシングが出てくるというので映画公開前に読んだ。映画には若き日のブラピが準主役で出ている。アメリカのトラウト・フィッシングはなんて豪快なんだと思った。けれど映画では釣り上げたニジマスがいかにも養殖魚でがっかりした。「リバーランズ・スルーイット」とは直訳すれば「川は流れ、そこを過ぎ去る」。川の流れを自分の人生にたとえていると思われる。「そこ」とは、この物語の舞台である自分の青春時代(あるいはそのときの自分)なのではなかろうか。2017/07/23
Takashi Takeuchi
14
大好きな映画『リバー・ランズ・スルー・イット』原作。以前映画にも使われた冒頭の一節 ”In our family,there was no clear line religion and fly fishing.”に惹かれ原書に挑戦したが、章分けなく長く続く文章に時間が前後する形式に英語力が追いつかず挫折。翻訳で完読したがこの形式が作品の効果を上げているとは思えなかった。しかし、20世紀初頭アメリカのノスタルジー、モンタナの豊な自然(水の煌めき、川の音)、釣りの躍動を感じる美しい文章は翻訳でも素晴らしい。2022/09/08
やまはるか
9
モンタナ州のブラックフット川でフライフィッシングをする親子の物語。ジャレド・ダイアモンド「文明崩壊」を同時に読んでいて、偶然に第一章が「モンタナの大空の下」で、アメリカ屈指の銅鉱山からの鉱滓による河川の汚染、乱伐による山林の荒廃が描かれている。モンタナの荒廃は19世紀に始まり、本書の時代背景は20世紀前半であることから、ブラックフット川は荒廃した自然の中に残された清流だったろうかと想像した。「わたしはこのお互いに対する愛で意気揚々としていた」はある日の主人公の心境。自然も人も留まることなく移ろっていく。2020/01/14
うにこ
7
リバーランズスルーイットの原作というので手に取り、野田知佑もC.W.ニコルも読まない私は、こういうネイチャーな分野が文学界の一画に確固たる価値と地位を築いているという事に目を開かされた。滋味あふれる地味とでも表現すべきか。タルコフスキーの映画やヘッセの小説で「あーココの部分、いらねー。退屈」ってのとはちがう退屈さ、でも深く潜れる、眺めの変わらない河のような…。これを読んであそこまで映像化したR・レッドフォードは真の映画作家。脱帽。2010/04/05