内容説明
絶海の孤島に五人と一頭が漂着していつしか一年が過ぎていた。彼らは希望を捨てずに固く団結し、住処を整え、食べ物を採り、島を探検して利用できるものを集め、近代科学の知識を駆使して文明的な生活を一歩一歩作り上げていく。そんな彼らを襲う相つぐ危機―海賊の襲来、火山の噴火、そして説明のつかないミステリアスな出来事の頻発…この島には何かがある。波瀾万丈の冒険譚、文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
96
まさに目くるめく冒険物語。内容が豊富でしかも読者を飽きさせない展開をヴェルヌは次から次へ見せる。南北戦争からの決死の脱出、無人島でのサヴァイバル生活、海賊たちとの戦い、そして彼らを見守る謎の存在、最後は生死を賭けたタイムリミットサスペンス。よくよく考えると現代の冒険小説に必要な要素がほとんど全て備わっている。ないのは男と女のロマンスぐらいだ。19世紀の遺物と思わず、手に取ってみてはいかがだろうか。少年少女の頃に胸躍らせた冒険の愉しさが、4年間を諦めずに生き抜いた男たちの生活と共に必ず蘇ってくることだろう。2018/03/18
H2A
19
『海底二万里』の続編程度に見ていて期待していなかったが、こちらの方がずっとおもしろい。「技師」サイラス・スミス、模範的少年ハーバート、非凡な5人が繰り広げる無人島での生存劇。ほぼ無一物なのにその知識と応用力で、火薬や電信まで手中にしてしまう。グラニットハウスだって本来はありえない、でも空想でしっかり築かれた楽園だった。それが小さな岩礁を残して消えた時はほんとうに惜しいと思えた。ヴェルヌのたくましい想像力が最高に発揮された一作。名前のないあの人物も登場して「神秘」を添える。2016/03/07
志田健治
11
大感動しました。『海底二万里』『グラント船長の子供たち』から続けて読んで本当に良かったです。グラント船長の方ではあの方の影があり、神秘の島にはエアトンがいる。このエアトンがまた上巻と下巻をつなぐ重要な橋渡しのような役目を担っているように思えます。島の探検と開発に余念がなかった入植者達に、また新たな人間的な心を思い出せるというか、エアトン好きです。泣かせます。そしてやっぱりあの方のインパクトたるや凄いです。入植者達も相変わらず愛おしいですね。最近マーベル映画がやってるクロスオーバーの先駆けですよね!大感動!2017/06/10
α0350α
9
登場人物表で盛大なネタバレを見てしまったせいで面白さは半減かと思ったら、全然そんなことはありませんでした。次から次へと魅力的な出来事が起こって夢中で読んでしまいました。やはり知識と技術を駆使していくところが面白いですね。ラストはどうやって助かるのか想像もつかないところからの大逆転でドキドキでした。2016/02/08
のんの
5
最後に登場した助けてくれていた謎の人物の正体がわかって、嬉しくてテンションが上がってしまった。思ったよりも面白くて満足。2024/05/12