集英社文庫 ジュール・ヴェルヌ・コレクション<br> チャンセラー号の筏

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集英社文庫 ジュール・ヴェルヌ・コレクション
チャンセラー号の筏

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  • サイズ 文庫判/ページ数 283p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087602180
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

大西洋航路をアメリカからイギリスに向けて航行中の快速帆船チャンセラー号は、不慮の事故から火災を起こし、航行不能に陥ってしまう。火との闘い、沈没の恐怖を乗り越え、なんとか生還しようと乗客と乗組員は筏を作り漂流を始めるが…。襲いくる嵐、餓えと渇き、そして悲劇的な出来事が…。極限状況下でのサバイバル劇を迫真の筆致で描く、本邦初訳の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

とんこ

22
再読。フィクションノンフィクション問わず漂流・遭難ものが好きでよく読むので、本書の展開は全体にある程度想定内。ですがテンポがいいのでハラハラしながら読み進める事ができます。悲惨な状況にはなりつつも目を背けるほどではないのは主人公グループが倫理観を保っているからですかね。でもこの倫理観が正しいのかどうかは「生存者 アンデス山中の70日」を読んだあとでは悩ましいところ。個人的には主人公グループも独善的ではないかと感じます。副船長カーティスが1番バランスの取れた好人物で、彼がいるから安心して読めます。2024/10/04

あおさわ

9
大西洋の真ん中での火事、座礁、沈没、漂流…。遭難のオンパレードともいうべき作品。遭難にあってむき出しになる人間性や、極限状態になり徐々に狂いだす様子が描かれます。これより一日長ければホントにリアルな恐怖作品になっていたのではないか。ある意味ぎりぎりで紳士的というか、まだ社会性を持つ人間のままで終われたなという印象です。大自然とは牙をむくとこの上もなく残酷です…。台風のあとなので少しだけ実感を伴い、読了です。 2014/08/07

misui

7
ヴェルヌなので当然面白い上に海洋冒険小説は評価が割増になる。また、本書のモデルの「メデューズ号」事件が当時かなり関心を呼んだもので、ジェリコーの「メデューズ号の筏」として描き残されており、それにはダンテの神曲からウゴリーノの飢餓の主題が参照されているかもしれず、さらにはロダンの地獄の門の発想の源になっているかもしれず…と掘れば掘るほど個人的に興味深い話題が出てくる。本作は若かりし頃の乱歩も参照したらしい。人肉食のシーンかな。2020/02/20

みのにゃー

7
処分前の再読。実際にあった事件が少年だったヴェルヌに衝撃を与え、大人になって描かれた作品ということが後書きにある。ヴェルヌ少年に与えた衝撃というのはズバリ人肉喰い。これを非難できる人間は少ないと思う。漂流記だがあくまで勧善懲悪。実際には有り得ないのではないか。サイコパス(物語には出てこない)の遺伝子はどんな状況でも人間が生き残るための最後の手段の一つとして存在しているのだと思うから。2018/03/27

嫁宮 悠

4
アメリカからイギリスへ向けて航行していた貨物船・チャンセラー号の遭難と漂流生活を描いた作品。サバイバル小説としては比較的マイルドな仕上がりで、ある程度の理性を保ちながら緩慢な死を迎えていく印象。この手の作品は登場人物の境遇に共感してか、読み手は苦しい読書体験を強いられるものだが、本作の場合はそれほどでもない。悪いやつらもあまりいないので、無私の心や信仰心、親子愛の美しさといったヒューマニズムに目が引かれる。特筆すべきは遭難に至るまでの経緯で、単に嵐に見舞われたわけではない点は、妙にリアリティが感じられる。2017/08/06

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