内容説明
1857年6月、発売と同時に検閲にあい、風俗壊乱の罪に問われた『悪の華』は、「きみは新しい戦慄を創造した」とのユゴーの絶賛をはじめ、フローベルなど多くの知友から賞賛された。第二帝政時代のブルジョア社会から忌避され危険視されたボードレールだが、彼の投じた「近代詩」への波紋はヴェルレーヌ、マラルメ、ランボーに、そしてロートレアモンへと拡がり、その後の世界の詩の流れを決定した。
目次
悪の華(憂鬱と理想;パリの情景;酒;悪の華;反逆;死)
禁断詩篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
59
背徳的ながらも美しい言葉に魅せられます。罪に問われるのもわかるような作品ばかりですが、近代詩に波紋を投げかけ、後の詩歌の世界に影響を与えたのもまた真実なのでしょう。悪魔的な香りが漂う詩集ですが、ここには紛れもなくきらめきがあるような気がします。2020/10/23
優希
51
背徳的ながらも華やかできらめく言葉たちが並んでいました。危険視されるのもわかるような忌避的な詩が多いですが、この詩をきっかけに「近代詩」に波紋を投げかけたことでしょう。猫、女、死といったテーマの詩は殊更美しく悪魔的な香りを漂わせます。この禁忌の詩の世界はどこまでも魔的な魅力を放ち続けるのだと思いました。2014/08/04
まふ
16
近代フランス詩の宗家みたいなボードレールの代表詩集。堀口大学は日本語の五七調で文語で訳している部分があるが大体は現代文で翻訳されている。従って、韻律は期待できず、これが日本の詩の決定的な弱点と思う。中身で読めばいいのだ、と言われるが、やはり韻律は詩の基本的成立条件であり、これのない「詩」は欠陥品でだろう。そうはいっても何を書いてあるのかがこの訳文によって理解できるということか。激越な言葉の氾濫であるが、これがフランスの詩の原点だということで理解し、時に思い出してリファレンスとして繙くこととしよう。2021/11/06
hikarunoir
11
30年ぶり再読。仄めかしに留めた性的逸脱/まだ芳醇でない薬物嗜癖(これは『人工楽園』で補うとして)、以外は退廃を網羅。後は詩か実人生で実践あるのみ。2020/04/21
ヨンデル
6
昔読んだ本です、整理のため登録しています。思い出せることは若かったせいか理解不能でした。2025/05/30
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- 和書
- 世界名作全集 12