内容説明
「この猫は大きくて美しく、全身真っ黒で驚くほど利口だった」妻と一緒に可愛がっていた一匹の黒猫。だが、精神をむしばまれた男は、その猫を虐待するようになり、発作的に殺してしまうが…。戦慄の復讐譚「黒猫」など、狂気と夢幻に彩られた特異な小説世界を創造した天才の傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
96
表題が心象に残りました。動物虐待が胸クソ悪いこと甚だしいのですが、まるで主人公の狂気に操られているかのようにページが進みとても困りました。また、ヒトがこのような狂気をも顕在化することができるのだということに驚愕と恐怖を感じました。2019/04/06
優希
80
恐怖の世界が口を開けていました。8編の怪異譚の随所に見られる詩的で幻想的な雰囲気がより怖さを引き立てているように思います。破滅的で一話一話読み終えるごとに襲って来る恐ろしさ。精神病患者の狂気が際立つ『アッシャー家の崩壊』の描写が怖かったのですが、それ以上に表題作『黒猫』は鳥肌が立ちました。一人称で語られる精神状態、殺された猫の復讐はまさに戦慄の物語です。狂気と夢幻で彩り、あらゆる小説の手法を使って特異な雰囲気を作り出した傑作と言ってもいいでしょう。2015/04/11
YM
36
猫好きにはなかなかに耐えがたかった。やってはいけないと言われると、やってしまう。裏切りたくなる。頭では分っていても体が動いてしまう。分るような分らないような。でもあるだろうな。「ソファで寝たらダメ」と言われているのに、ついつい寝てしまう感じか。いや、違うか。。2014/10/30
へいっち(ت)♪
34
「黒猫」のみ。男は大きく美しく利口な黒猫を飼っていた。時が経つにつれアルコールに溺れ、平常心を失い、自分をコントロールできなくなった男がとった行動とは・・・。黒猫の恐怖と男の破滅。表紙が物語っていましたね。2014/11/06
山下哲実
32
オーディオブックアプリで読了。 主人公のねじれた心理状態が誠に腹立たしかったです。 でも物語は面白かったです^_^ エドガー・アラン・ポーは誠の天才です。2019/07/24