感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
redbaron
17
季節の表現の仕方が素晴らしく、その後に続く艶笑譚(とは限らないけれど)に毒されて。基本コメディだけれど、たまに「ズシッ」と重い話がアクセントに。もっと読まれても良いのに。そういえば、最近艶笑譚って見かけなくなったな〜。2016/12/12
Galilei
4
TVドラマで鯛山を演じた森繁が、本人との対談で一声。「あなたを役者にしたい!」なるほど、その風貌は、顔中ヒゲだらけ、濃い眉、スッと伸びた高い鼻。そして切れ長の目の奥は柔和。高倉健や鶴田浩二を凌ぐキャラで、三船や仲代なら互角か。それこそ、黒澤明の『赤ひげ』だって主演できそう。森繁とどっこいの語りで、獅子文六に師事した文芸やプロはだしの釣りを熱く、医院は極く控えめ。江戸時代からの医者の家系ながら、出世を逸したためか、田舎医師のためか、終始自虐とコンプレックス。その分、患者のために自分が出来ることはとことん。
精看探求士
4
古い文庫(初版1984年)だが、面白いと聞いて読んでみた。成程、ゲラゲラと笑いが止まらない。田舎の医者が書く日常の短編小説といったものだが、ノンフィクションなのか?と興味が湧いたりする。ヤブ医者だと呼ばれ、患者が来ないのをいい事に釣りに出掛けたりする。奥さんも看護婦もヤレヤレまたか、手慣れたもんですよと話は進んでいく。著者に興味を惹かれて実在する医院を訪れる者も多いとか。アァ、文章とは真面目に書くことばかりが能じゃナイナ。たまには、イキを抜かなキャ。(カタカナの使い方に味があるという意味でした)2015/05/17
Galilei
2
2022年12月に本題を、主演柄本明、佐藤B作、笹野高史の名優らが明治座で公演。那須高原の田舎医者見川鯛山に降りかかる地元の出来事を、40年経った令和に今一度読んでみると、作者の懐の深さ、思いやりと心遣いなど、忘れそうな現代に背中がぞっとします。作者の風貌はまるでアルキメデスの肖像画のようで、鋭い眼の奥は優しく、とがって聳える鼻、黒々と顔を覆う濃い髪と髪に眉、森繁久彌をして「あなたを役者にしたい」と言わしめたキャラクターは、名優すら寄せつけない人間の強さと弱さ優しさの威信です。明治座公演観たかった!2020/02/24
剛腕伝説
2
那須で診療所をしている作者の日常を面白おかしく伝える短編集。医者という立場で住民と関わっていく作者。当然ではあるけれど、死が一つのテーマになっている。 コミカルな日常と厳粛な死、そして那須の自然、そんなものが渾然一体となり話は進んでいく。2016/10/06
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