内容説明
「狼は哲学者だな。戦闘に熟達しただけのコマンドじゃない」傭兵がつぶやく。その「狼」に立ち向かうため、石本一幸がペルーにもどってきた。アフリカで血を吸ったナイフを携え、戦争のプロフェッショナルを伴って。憎悪と友情、硝煙と血を描いて、物語はクライマックスを迎える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
54
北方さんは喧嘩の道も究めたのだろうか。想像だけで今までのストーリーは書けまい。しかも情勢も適格。そう思うと凄い作家さんです。ラストに高城と竜一も石本も一堂に会した。多くの血を吸ったナイフと獣たち。生と死の境で蠢いている、どこにでもいる若者に過ぎなかったのが勇者に。高城という老いぼれ犬?否、狸に振り回された3人の挑戦。人生なんてものはどこに何が転がっているかわからない。今の世の中には失われつつある自己鍛錬染みた啓蒙、面白く読ませて頂きました。2016/03/20
せ〜ちゃん
27
★★★★★ 挑戦シリーズ 4作目。2016/07/09
アオヤマ君
9
挑戦シリーズ「風群の荒野」舞台はペルーやジャマイカの中南米。男たちの闘い。ある時は熱く、ある時は冷たく。竜一たちインディオ、イシモトたち傭兵。逆説的な言い方になるんだけど、感情を抑えたハードボイルド抒情詩。昔、読んだ時よりは楽しめた。海外小説に近い雰囲気がしたからだろうか。青っぽい感じや湿っぽい感じは少ない、渇いた感じがいい。高樹警部の老犬トレーの旋律が聞こえるようです。2024/02/26
三谷銀屋
4
四年ぶりに再読。挑戦シリーズ5巻と関連作品「牙」「檻」は一通り読んだけど、この巻は2番目に好き(一番は「檻」)。南米のインディオの村で暮らす水野竜一を追い、闘いを挑む石本。互いに闘いに取り憑かれた男達だけど「闘う意味」を持っている竜一の方がやはり本当の意味で強いのかもしれない。北方ハードボイルドに出てくる男達は皆して超人的な戦闘マシーンだけど、石本にはどこか人間らしい弱さも感じられるのが、私としては良かった。あと、やっぱり老いぼれ犬の高樹刑事がかっこいいですね。2019/07/09
くろねこ
3
シリーズの四作目で、前作では村沢と組んでいた石本が主人公みたいな感じでした。以前このシリーズを読んだ時に狐・ゾロの最後が一番印象に残ったのですが、狼・ロボへ笑いかけるシーンが有ったせいか今回読み直したらそれ程悲壮な感じがしませんでした。老いぼれ犬・高樹の場面から始まっていましたが、今回は全編に登場して最後は彼のやり方も見せられて、北方謙三の作品では独特のキャラクターですね。次の巻でこのシリーズも終わりですが、最後まで読みます。2013/09/07