内容説明
無敵の匈奴軍を塞外で打ち破り、武勲をあげた前漢の名将・霍去病の死の謎を描く表題作をはじめ、春秋末期の呉越戦争期を舞台に、2人の英雄、伍子胥と范蠡に、絶世の美女、西施を配した「わが愛しの西施」、戦国四君の1人、楚の名宰相・春申君の悲劇をあつかった「残春記」など、7篇を収録した中国古典伝奇ミステリー集。
感想・レビュー
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BIN
2
霍去病、西施、春申君(李園)、左慈、諸葛亮、玄奘、離魂記の短編集。タイトルの驃騎将軍の死は夭折した霍去病がどうして死んだのかを描いた作品。よくよく考えたら文官とかだと夭折の天才児とかいるけど、将軍で夭折っていうのはあまりいないなと思った(孫策ぐらい?)。玄奘はミステリーもの、離魂記は伝奇からふくらませた作品で興味深かった。2015/07/13
鐵太郎
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驃騎(ひょうき)将軍とは、中華帝国において大将軍の下に位置する最高位の地位。この名を最初に冠された霍去病、武帝の配下であった若き英雄の謎の死が、この本野最初の短編のターゲット。こういう解釈もありか。そして西施、春申君、左慈、諸葛亮、玄奘三蔵、そして最後の歴史に名を残さない市井の男、王宙。それぞれに想像の翼をはためかして描いた、伴野さんらしい小さな歴史のこぼれ話。こういう中国史譚も、いいね。2014/11/08