内容説明
大いなる変革をもとめた6世紀末から7世紀の大和国家。山間の僻地にすぎない飛鳥の地は、なぜ政治的拠点となりえたのか?また聖徳太子の定めた新都・小墾田宮は、いったい何処なのか?生き生きとした政治力学の舞台―飛鳥の秘められた謎を追う表題作。歴史の裏に隠された非運の太子を描く「死の聖化」など3編を収録。
目次
飛鳥とは何か
死の聖化
飛鳥をめぐる謎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
97
意味なさげなんだけど妙に心惹かれる。 この方らしいタイトル。 筆も自由です。 歴史学者だったら追放されそうなこともバンバン書きます。 哲学者兼詩人だから。 かなり古い本なので、高取城に猿石があると聞いたが見つからなかった、とあります。 今はハイキングコースの山上近くにちゃんとあります。 あー、飛鳥行って古墳巡りしたい2020/12/13
Shoji
47
少々難しいお話。奈良に平城京という都があった前、飛鳥に都が置かれていた頃の歴史を考証しています。乙巳の変や壬申の乱に見られるように、飛鳥時代の皇位継承は目まぐるしく、天皇の宮も目まぐるしく変わり行きました。その時代背景について著者なりの考察を述べています。史実か否かは別にして、著者なりの哲学的な考えが書かれていて、それはそれで面白かったです。としか、感想は思い付きません。すみません。 2019/10/25
Jimmy
1
「飛鳥」という土地・地域をこんな風な視点で取り上げる事自体のアイディアが感服です。「十字架」の法隆寺の真ん中の柱問題が建築学的に誤推理だと知ってちょいがっかりとはしていましたが、それでも聖徳太子鎮魂説はある程度的を得ていると面白く読みました。2020/08/12
紫暗
1
収録されているのはタイトルの「飛鳥とは何か」と「蔭の氏族」「死の聖化」の三篇です。どれも飛鳥を軸にした話になっています。文章中、けっこうな頻度で著者が以前に書いている「隠された十字架」の話が出てくるので、そちらを先に読んでおいた方が理解しやすいと思います。飛鳥とはいったいどこを指すのか、そしてその飛鳥では本当は何があったのか?勝者の理である歴史書には書かれなかったであろう真実を知ろうという試みの一冊です。2011/07/25
norinori
0
『日出処の天子』を読んで『隠された十字架』を読んでみたくなって、でも図書館になかったので代わりにこちらを。小墾田宮=大福説を熱く支持されていたので、答え合わせ的なつもりでネット検索したら、30年近く経った今でも特定されていなくて驚いた…(小治田宮はほぼ確定っぽいけど)。そんなこんなな大福も含めて、また飛鳥方面に行きたくなった。2017/08/11