内容説明
京都祇園の置屋、藤乃家の「仕込みさん」時子は、西陣の貧しい機織りの家に生まれ家計を助けるため奉公にでていた。女将の里江をはじめ、照蝶・君龍・染丸の三人のお姐さんの身の回りの世話、礼儀作法の修得、芸事のお稽古にと朝早くから一日中キビキビと健気に働いている。そんな時子もついに舞妓となる時がきた。「おもちゃ」という名で。華麗な花街に咲いた一人の少女の旅立ち。巨匠・新藤兼人が書き下ろす映画「おもちゃ」の原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アツリン
1
京都で下積みとして働いている少女が舞妓としてデビューするまでの話。働くこと、生きることの辛さを感じた。2017/04/23
空蝉
0
小説?というのが最初の感想。同名の映画の脚本家が書いているから、脚本仕様でも不思議ではない。心理描写が少ないからか、主人公に感情移入しにくい。ただ、花街で生きる覚悟をしなければならない、微かな寂しさと潔さを覚えた。映画を見たら、また違うかもしれない。2010/04/22
towerofthesun
0
「里江は、ウメ婆さんが長火鉢の端に並べてくれたお茶漬けの茶碗をとり、『それがええ、一つことにながいことこだわったらあきまへん、過去は捨てる、明日に向って歩きましょう』と、さらさら、茶漬けをかきこんだ。」…祇園の置屋の日常を淡々と描きつつ、すっとぼけた旦那衆にグサリとやり返す場面や、結局これは「売春」なのか何なのかという懊悩なども盛り込んだ、快作。巻末の深作欣二(映画班「おもちゃ」監督)の解説が興味深かった。2023/09/19
のんの
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舞妓さんになるまでの仕込みの期間中の時子の話。舞妓さんになるまでの流れも今とは違う部分もありそうだけど、なんとなくわかった。同じ置屋のメンバーの女性陣も精神的に逞しくて、時々情にほだされて可愛いところもあったりして、何かいいなぁ~映画化もされてるようなので、機会があれば、見てみたい。2019/12/27