内容説明
彰義隊が上野で戦う二ヶ月前、既に戦火は北関東に広がっていた。江戸開城を不服とする歩兵奉行大鳥圭介率いる旧幕府の一部が、徹底抗戦を叫んで挙兵したのだ。新選組の土方歳三や会津藩士秋月登之助がその中核だった。この東軍と錦旗を振りかざす西軍の間に宇都宮城をめぐる熾烈な攻防戦が展開され、戦火は今市、白河へと燃え広がっていく。吉川英治文学賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うらなり
8
宇都宮、日光、今市、白河と薩長軍は攻めまくり白河城も落ち、板垣退助が白河に入ってからも奪還を試みたが果たせなかった。2020/09/24
東森久利斗
3
VRでサラウンド、幕末専門チャンネルで24時間実況生中継、迫真の現地密着、迫力ある臨場感。宇都宮城、白河城、奥羽街道、奥山の静寂を破る砲声、銃声、跫音、嬌声、怒号。船頭多くして船山に上る、烏合の衆の悲劇。敗者の生きざま、近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な手記、建白書、文献、史書を通してその実相に迫る。2024/01/16
tenma
1
話が段々瑣末になってきた気がする。関東北部の戦いにここまで筆を割いている作品も珍しい。知っている人物がほとんど出て来なくなって(それこそ、作家が用意した人物鮎川兵馬すら数ページしか出て来ない)、小説というよりも経緯の細かい史料になりつつある。2013/11/28
半べえ (やればできる子)
0
★★★ -日光の巻-新人物往来社の旧単行本で読む(図書館利用)2009/04/27
ふとし
0
大鳥圭介も榎本武揚もそうだが、会津はじめ奥州連合の考えている抗戦とは意義が違っているようだ。元幕臣の彼らにしてみれば、なまじインテリであるが故に、自分の力を試すための戦い、つまり死を賭して、という気概はなかったのかもしれない。だから気がつくと明治政府に平気で雇われていたりする。奥州の気質というか、正義を純粋に愛すればそれだけ薩長のやり方は極悪非道。現在、他国の内戦のニュースを聞いて野蛮だなどど思っているが、我々のほんの数代前の先祖も同様に野蛮な人たちだったことを忘れてはならない。2013/01/14