内容説明
ある日、業者は骨壺を作り始める。人は死んでからも入るところが必要である。ならば白灰一色で味気ないものでなく、もっとオリジナルな壺に入って楽しもう。かつて沖縄や慶州で見た釉薬を用いた美しい骨壺が思い出され、自ら手をそめる。かくして若狭と軽井沢に窯を持つまでに至る。「死」についての心のありかたを、滋味あふれる筆にのせ静かに解きあかす。
目次
骨壺の話(骨壺の話;『山の暮れに』のこと、それから;ふたたび、骨壺のこと)
死ぬこと生きること(集中治療室の思い出;水口さんの死;病院放浪 ほか)
若州日記(高橋竹山さんを迎えた日;竹紙本のこと;またまた、竹紙について ほか)
感想・レビュー
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彩美心
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若狭の原発銀座のことが語られていて、この本が震災の何年前にかかれたのか知らないけれど、水上さんは未来を予知しておられたのだなと感慨を深くした。風流とは失敗のけしきであるという言葉が印象に残った。さすが禅寺出身者。2013/07/01
名美
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慧端和尚の「一日ぐらし」や氏の言葉がすとんとお腹におさまったのは、私がそういう年齢になったからか。だとしたら、年を重ねられたことに感謝しなくては。2012/10/25
金之助
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水上氏の抱く風流と死、そして生というものがよく表れた一冊だと思う。この人の書く自然のさまとでも言おうか、それがとても好きだ。2012/10/10
agri
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風流人、水上のエッセイ2010/07/22
ipusiron
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1998/6/18読了