内容説明
いったん不起訴となり、一般人から構成される「検察審査会」で再審議することになった「社員研修シゴキ死亡事件」。そして、妻の不倫をネタにゆすられていた男の「自殺偽装殺害事件」。一見全く無関係な2つの事件を結ぶ恐るべき環とは!?欧米の陪審員制度を連想させる「検察審査会」を題材にした、社会派長編ミステリー。緻密な構成と息づまる迫力で、人間の真実に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BlueBerry
43
小杉健治さんの小説は二つの事件を絡めるものが結構あってこれもそのパターンの小説でした。裁判物も結構好きなのでこれも楽しく読めました。2014/03/07
ヨーコ・オクダ
15
「裁判員制度モノ」はいくつか読んだことがあるけれども「検察審査会モノ」は今回初めて。その存在さえ知らなんだわ。で、この作品は、検察審査会のメンバーで1つの事件をあれやこれや言いながら、起訴or不起訴の結論を出して終わり…なんていう単純なものではなく、もう1つ別の事件を絡ませつつ、刑事裁判の在り方、検察庁組織内の力関係など、さまざまな問題も提示していたり。どんでん返しではないものの、途中で予想していた着地点とは違ったところへ導いてくれる。めっちゃ技巧的。2015/10/14
RED FOX
13
しごき研修での不審死を検察審査会で取り上げることになったサラリーマンや主婦たちの思惑や葛藤。面白くてほぼ一気読み。そして見事に騙された~(>_<)2018/04/21
Masaaki Kaneda
8
検察審査会なんて制度が存在する事全然知りませんでした 裁判員もそうやけど選ばれたくないものです2018/09/30
みりん。
5
幹部研修中のしごきによる死亡事件がいろいろな状況証拠にもかかわらず不起訴処分とされた。一方で起こった自殺に偽装された殺人事件、その犯人は自供しているが誰かをかばっているのでは、と疑問をもつ主人公の検察官、桐生。第一の事件は検察審査会にかけられ、発端となった登山研修の実験までおこなう、そこで明らかになる二つの事件を結びつけるものとは。。集団心理が鍵になり、最後まで目がはなせない秀逸な法廷ものになっている。2012/09/17