内容説明
思いを寄せる女の夫を殺し、さらに凶悪な犯罪を重ねた男が脱獄した。夫を殺され、信濃の山中で幼児と暮らす女の前に、警察の手を逃れた脱獄囚が現われた。情欲に燃えた不気味な笑みを浮かべる男の手が恐怖におびえる女の肩にのびる…(「天使の復讐」)。戦後のカオス化した社会を背景に巧みな構成力と自由奔放な想像力で描く風太郎ミステリーの傑作6編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬こ
22
短編集。山田風太郎のミステリー初めて読んだのだけれども、心情的な描写と最後の〆に毎回驚かされることの連続で、山田風太郎ミステリーという、すごいお宝を発見した気分で満足。今更ながらですが、他も読みたいです。2016/05/29
ぜっとん
4
雑すぎるオチと妙に絢爛な文章が絶妙な山風感を醸し出していてよい。特に好きだったのは「狂風図」「鬼さんこちら」「色魔」あたりでした。表題作はエログロ分が薄くて、もうひと口食べたくなる感じの作品。「鬼さんこちら」なんかは、ミステリとしてではなく短編小説として構成が美しいしモチーフもグロテスク限りなくてよい。2016/06/04
こけこ
1
風太郎さんの短編、初めて読んだ。あっ、そうなるの?っていう展開が楽しかった。2018/09/11
ペペロニ
1
さらっと読めてしまう短編集。どれも捻りが効いてあったし、終戦直後を描いた「凶風図」はさすが風太郎といった出来だと思う。2015/04/04
登杜路
0
山田風太郎は短編もうまい!人間の業や悪意、それらを超えた因縁などをうまく織り込んで作られた短編集。心情の生々しさも良かった。2016/04/26