内容説明
彼を10年間、精神的にも経済的にも支えた年上の女性。別れる時、彼女は悲しいほど潔く、こう言った。「いつかこうゆう日が来ると思っていたわ。別れが透けて見えていたからこそ、私たちの人生はあんなにも充実して美しかったのよ」。3年後、彼女が死の淵で彼に委ねたものは…。未発表作「涙の首飾り」、絶筆「シナという名の女」を含む珠玉の16編。森瑤子の最後の短編集。
目次
涙の首飾り
発展的婚約解消
ステキなフロク
愛の刻印
ラヴ・レター
お小遣いの前払い
誤解
タイム・イズ・LOVE
友情
あなたの匂い〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
25
絶筆の表題作を含む16作の短篇集。すべて女と男の関係を洒落た味付けで描かれている。私は前半13作の超短篇が断然面白かった。川端康成の「掌の小説」を彷彿させる。8頁に凝縮されてリズム感のある文章がいい。詩を読んでいるかの爽やかさ。ニヤッとする話、ほろりとする話、微笑ましい話・・・等々。愛を伝えるのには「以心伝心」ではダメ。「女にとってやさしい言葉はいくら言っても言い過ぎにはならない・・・」そうです。「ラブ・レター」。男性諸氏は今日からお試しあれ。ここに登場する男は物わかりがよくて、優しい男たちです。2014/11/27
なつき
2
小説『シナという名の女』読了。森瑤子の、絶筆を含む最後の短編集。どのお話も奇妙に明るいところがあって、びっくりした。この作家は最後に光を見ていたのかも。それでいて表題作のなにげない一文はこうも語る、「自分がどこにも根を張っていないということは、どこにも属していないということだ」。2017/04/09
あおさわ
1
なんとなく手にとりなんとなく読み終えました。幸せだったり幸せじゃなかったりな様々な恋模様。恋愛する心をちょっとずつ撫でた感じ。2010/02/01