集英社文庫<br> 田辺聖子の古事記

集英社文庫
田辺聖子の古事記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 314p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087484496
  • NDC分類 913.2
  • Cコード C0193

内容説明

玄妙な魅力で人々の心の夢をゆすぶる、すべての日本文学の「出できはじめの祖」―古事記。「国生み」「八俣の大蛇」「海幸・山幸」など謎を孕んだ神々の世界。初代天皇・神武から始まる恋と冒険の人間世界。神も人も古代の天地を心のままに駆けめぐって、笑い、怒り、戦い、愛し合う。少女時代から「古事記」の夢にとりつかれていた著者が、平明な美しい言葉で語る、壮大な日本のあけぼの。

目次

神々の饗宴
倭し うるはし
恋と叛逆の季節

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぴー

36
古事記の物語を田辺さんの訳で楽しむ。神々の名前に、必ず見開きに一度はふりがながふられており好印象。所々で注釈が入り、視点を広げてくれるのも楽しい。最初は、行動や気持ちがよめず、おおらかでいて気まぐれな神々の世界が広がっているが、次第に愛憎渦巻く人間臭い世界に変わっていく。いつしか神話が歴史と混ざり合い、今と神話の御代が繋がってくる。母語に通底する無意識の価値観なのだろうか、心の、普段手が届かないところに訴えかけてくる力を感じた。神話とは魅力的だからこそ恐ろしいものだと実感した。色々な人の訳で読んでみたい。2017/07/05

がんぞ

4
最近の研究では語り手=稗田阿礼は「女性だった」という説もある。田辺は『日本書紀』は男性社会が“大陸の隋・唐王朝に対し対等を主張した”書であるとすれば、古事記は女性社会が《社会の基礎をなすのは女性》原理を前提として書き下ろされたのではないか?と想像する。共通のテーマでも書紀は勇ましく、古事記は女性目線で戦士を思いやり、いたわる感覚が確かにある。神功皇后の話にしても古事記では悲壮感があるが、書紀ではやたら勇ましいだけ。記紀ともに白村江の敗戦を受けて、“半島での兵力使用の正当化”ではある。敗北は文藝を発達させる2016/11/28

かなで

3
すごく読みやすかった。途中に入る田辺さんの注釈もわかりやすくていい感じ。初心者向け古事記といったところ。2011/10/26

s

2
やりたい放題、おおらかで生き生きとした上巻も楽しいし、よく聞いた話の多いまだ神話が続く中巻も気持ち良く読める。愛憎渦巻く下巻は里中満智子先生の「天上の虹」に続いていく訳だな。と納得する。もうずっとこんなことしていて、今も変わらず揉めたり争ったり疑ったり、恋しくなったり募らせたりしているんだな。しかし、みんな思いを歌いまくる。格好いいんじゃないか。嫉妬の女王イワノヒメに対して嫉妬は女性本然の性質、旧来の婦徳という偽善の仮面を一蹴。彼女の自我とプライドは美しい。と書いた田辺さんに拍手喝采。2014/07/09

2
どれも面白いわたしの古典シリーズの中でも特に面白かった。国生みの話、天岩戸の話など知っている話も多く、古事記って日本人に浸透しているんだなと思う。西洋神話とも似通った話があったりするのが不思議。ちょっと突っ込み入れたいくらいおおらかで鮮烈な人々の魅力に、語り継がれてきた物語の力を感じる。2012/01/16

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