内容説明
近代日本の産業界の夜明け、彗星のように現われ、人々の度肝を抜くような奇抜な足跡を残し、そして一睡の夢の如く消えて行った「成金」たち。サフラン酒王、石炭王、サトウキビ王、生糸王、たばこ王、遊郭王、南洋王などなど。産業考古学を提唱する著者が、日本全国をフィールドワーク。もう一度、夢を見ないか。
目次
序 産業考古学ツアーへの誘い
第1章 黄金伝説への旅―サフラン酒王
第2章 独立ユートピアの夢―サトウキビ王 玉置半右衛門
第3章 豪農たちの豊穣なる“実り”―稲穂王 伊藤文吉
第4章 消えた“ニシン王”の謎
第5章 “黒ダイヤ王”の大いなる遺産―石炭王 麻生太吉
第6章 成りあがり“炭坑王”の悲恋―石炭王
第7章 深山に眠る“銅山王”のユートピア 広瀬宰平
第8章 “絹の道”からハマの港へ―生糸王
第9章 好敵手物語・ニッポン宣伝事始―たばこ王 岩谷松平、村井吉兵衛
第10章 線路はのびるよ、まっすぐに―鉄道王 雨宮敬次郎、根津嘉一郎
第11章 ラッパの余韻―映画王 永田雅一
第12章 “町おこし”産業の宿命―遊郭王
第13章 南洋の島にあった楽園―南洋王 宮下重一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
記憶喪失した男
9
明治昭和の大富豪を紹介している本。2018/11/27
込宮宴
0
かつて一時代を築き上げ、栄華を誇ったものの今はもうない、そんな「王」というべき偉人・怪傑・怪人達を、産業考古学というべき視点から探る本書。 いやはや、どの「王」達のエピソードも面白い! サクセスストーリーだけでなく、金持ちになった後や、現在残された遺跡とも言うべき栄華の残香、全部スケールがでかい。 個人的には麻生太郎元首相の曾祖父・麻生太吉が好きかな。 そして、最後の、著者の言葉が心に残る。 ―一番重要な点は、現在ある産業の姿もまた、いずれやニシン業や石炭業のように「過去」となって滅びることを、2014/06/07
冬至楼均
0
豪商達の夢の跡。2014/02/22
小林ミノリ
0
産業考古学と言う視点でふりかえる、日本の近代化の裏歴史、いちど栄えしモノでもやがて衰え行く、だがしかし、黄金伝説と言う形で今に伝わる。
Hiroaki Nagayama
0
産業考古学という切り口から眺めた、かつて日本の近代化を担ってきた「失われた産業」やお大尽たちの足跡を巡る旅。ニシン王、サフラン酒王、石炭王、サトウキビ王、生糸王、鉄道王、映画王、たばこ王、遊郭王、南洋王など、奇抜さやスケールの大きさに度肝を抜かれた。しかし、そこに庭に琵琶湖を掘ったり富士山を作り芸者を総上げで乱痴気騒ぎするような、絵に書いたような成金の姿はなく、質素に生活しながら当時新進気鋭の産業を起こし、時代と共に滅びて行った日本人たちがたくさん登場する。そして、著者は産業は過去を持たず、かたくなに過去2012/09/15