内容説明
「遠い旅も近い旅も、あるいはもっと別な内なる人生の旅のことも含めて」シャッター音とともに、旅する人が封じ込めた24のモノローグ。一枚の写真にひそむものがたりは、世界を回り、記憶を縦横に行ったりきたり。二度と会えないかもしれない人々と風景と。これが、椎名誠の人生の一瞬。
目次
那覇のホテルで窓をあけたまま睡ってしまった。
夜更けまで波の音がきこえていたので。
犬は少年といる時が一番うれしいようだ。
夜なのに林のむこうからおはやしがきこえてきた。
ある年の夏、ベカ舟で沖へ流されてしまった。
零下二〇度の雪原で三つの月を見た。
ここでないもっと遠くの時代の海のはなし。
蒼すぎる空は時おりずいぶん悲しくみえることがある。
草原を眺めていたらシャーウッドの森を思いだした。
ゴビ砂漠の上を雲と同じ方向にとびながら考えていたこと。〔ほか〕
著者等紹介
椎名誠[シイナマコト]
1944年6月東京生。作家。東京写真大中退。「本の雑誌」編集長。世界の辺境地区への旅をライフワークにしている。88年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、90年「アド・バード」で日本SF大賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュースの素
5
シーナさんの真骨頂だと思う、こう言う形の本。 私も人生に一冊でいいからこんな旅本を出したい。(無理を承知) 私は旅先で撮る写真をシーナさんの写真から学んだ。何気ない一瞬を切り取る方法。ハタから見たら なにこれ?と言われそうな写真だけど。(笑) 短い文から その土地の気配やその時の心情が痛いほど伝わる。こう言う本は古本屋には売れないネ。 文庫じゃなく単行本で読んだがここには無いのだなぁ。2015/02/03
ダンスにホン!ころりん
5
20041025第1刷 150116読了 椎名さんが目にした日常、旅の風景、日々の発見やそこで暮らす人たちとの会話から広がる記憶の連なり…本を読むと言うよりも、タイムマシーンで椎名さんと一緒に旅をしながら自分のこれまでを振り返るような、椎名さんの言葉を借りれば本当に『気持ちの底がほっとする』一冊でした。2015/01/16
ソラ
4
内容(「BOOK」データベースより) 「遠い旅も近い旅も、あるいはもっと別な内なる人生の旅のことも含めて」シャッター音とともに、旅する人が封じ込めた24のモノローグ。一枚の写真にひそむものがたりは、世界を回り、記憶を縦横に行ったりきたり。二度と会えないかもしれない人々と風景と。これが、椎名誠の人生の一瞬。 2009/12/29
Hiroki
2
mybook シーナのハチャメチャコメディは、それこそ何冊も読んだが、こんな湿潤感満載の文章も写真も良いもんだ。こっちが歳とった所為かしらん。 活字と行間と物静かな写真の向こうに、旧き良き懐かしい風景が見えた。小さな町の小さな神社の夏まつり。数件の屋台が並んでいる。控えめなざわめきが聴こえ、カルメ焼きの匂いが漂っている。そんな優しさが心地よい一冊だ。2023/08/22
go
2
古本屋で何気なく買った。椎名誠の本には外れがない。写真も素敵だ。毎日寝る前に少しずつ読んだ。最適な本だ。2015/04/16