内容説明
三畳一間、家賃月1万2千円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のおばちゃんに翻弄される。一方、私も探検部の仲間と幻覚植物の人体実験をしたり、三味線屋台でひと儲けを企んだり。金と欲のバブル時代も、不況と失望の九〇年代にも気づかず、能天気な日々を過ごしたバカ者たちのおかしくて、ちょっと切ない青春物語。
目次
UFO基地探検と入居
電話をとるな
ドケチ男「守銭奴」の叫び
「野々村文庫」秘話
飯作りは危険がいっぱい
無法地帯・野々村荘
犬は車を止めようとは思わない
人体実験で十五時間、意識不明
プールへ行こう!
テレビが家にやってきた!〔ほか〕
著者等紹介
高野秀行[タカノヒデユキ]
1966年東京生。早稲田大学探検部所属、卒業後、タイ・チェンマイ大学講師を経てフリーライターに
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
339
早稲田大学正門からわずか徒歩5分、家賃1,2000円の野々村荘で暮した高野秀行氏の文字通りに破天荒な青春記。なにしろこのアパート、大家のおばちゃんこそ痛快であるものの、住人たるやそれこそヘンなのばかり。もちろん、当の高野氏も十分にヘンなことは言うまでもない。でも、読んでいるとなんだか羨ましくもあるのだ。誰しもが、大学生活を終えると、普通の社会人になってしまう。そうなりたくなくてもだ。ところが、高野氏はそうではない。彼は永遠の青春を生きようとする。そんな彼の青春の終わりが語られる最終章もまたいい。2017/03/22
しんごろ
280
著者のエッセイというよりは自伝的青春小説!笑った笑った!バカだアホだとツッコミながら読んでしまいました。住人や探検部のメンバーの個性が強すぎ(笑)大家のおばあちゃんもいい味だしすぎ(笑)きっと本人にとって楽しい青春だったんだなと思いました。(このハチャメチャさは俺には無理w)笑ってばかりいましたが、ラスト辺りは、心温かくなり、そしてしみじみともなりました。これは笑い声がでてしまうので公共の乗り物で移動中に読んではいけない本ですね(^^;)ああ面白かった(^-^)2017/08/09
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
175
学生の頃の貧乏話は何故か懐かしく、しかも楽しい。家賃12000円、トイレ共同、風呂なし3畳間のボロアパート野々村荘に住んだ高野さんの「実録」?同じような時代に風呂トイレ共同、家賃18000円、築30年以上のボロアパートに住んでいた身としては、昔を思い出しながら読んでいた。環境は似ていたとはいえ、ここに住む住人も大家さんも強烈なキャラですね。さすがに私の周りにはこんな人はいなかった(笑)。楽しく読ませてもらいました。最終章の恋の話はとても微笑ましい。★★★★2015/08/02
読特
155
先日、早稲田界隈を散策した。高田馬場から早大キャンバスへ。どういうわけか神楽坂まで行ってしまった。野々村荘はどこにあったのだろう。家賃1万2千円の3畳間。時は90年代。バブルがはじけ不況が始まる。失われた30年に入るとき。…未亡人の気のいいおばちゃん。勝手に他人の部屋の電話に出る司法浪人ケンゾウさん。腐ったものを調理して異臭を放つ”守銭奴”。風呂には行かずにプールで済ませる著者。自由人でその日を楽しむ。面白おかしく描かれた青春期。将来への不安もきっとあっただろう。去っていった人のその後の人生も気になる。2023/07/17
あきぽん
151
森見登美彦の四畳半シリーズがこじらせ京大男子の話なら、こっちはこじらせ早大男子の話。森見氏の四畳半青年よりずっと外向的で行動的だけど、しょうもない阿呆な男子のたくさん出てくる話がお好きな方は大いにこの本を楽しめます。2020/11/05