内容説明
ソウルから日本へ、北朝鮮の大物工作員・チョンが潜入した。大量の偽ドル札とともに。果たして彼の任務とは何なのか?米国防総省の在日情報機関に所属する分析官・葉山はチョンの残した文書の解読に成功するが、そこには意外な事実が隠されていた。同じ頃、平壌から一組の母娘が中朝国境を目指していた―。文庫版のための書き下ろし特別短編『The Game』を収録。第3回大薮春彦賞受賞の傑作スパイ小説。
著者等紹介
五條瑛[ゴジョウアキラ]
大学卒業後、防衛庁に情報・調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て、99年「プラチナ・ビーズ」でデビュー。「スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙」で01年第3回大薮春彦賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
43
再読。2014年1069冊め。朝鮮半島情勢なんぞ興味なかった田舎の女子高生だった私を、坂道を転げ落ちるように魅力したスパイ小説シリーズ。私にこれ読まされたせいで「防衛省目指す!」とか言い出した友人も出るほどの魔力がある面白さ。実際進路調査で「東大文一」って書いたおばかちんも出たなぁ(理系医進クラスから旧帝文系は無理がある)。2014/11/15
Yuki
28
北からの亡命を決意したある母娘のエピソードと、韓国での銃撃戦をすり抜けて日本に来た工作員・チョンを巡るエピソードが交互に語られる。これまで完璧に暗躍し様々な仕事をこなしてきた男が残した、文書というにはあまりにも素朴な書き取り。葉山がそこから見つける家族の存在と、得体の知れない工作員が心に秘めるふたつの家族への想いに心が揺さぶられた。3つの瑪瑙が表す意味を知る本編ラストシーンは心に焼き付く。後日談の野球エピソードの微笑ましさも◎。2019/06/22
扉のこちら側
24
2002~4年に初読、再読。北朝鮮を巡るスパイ小説・鉱物シリーズの2作目。アメリカ国防総省の在日情報機関のHUMINT担当官葉山くんがじたばたする。前作で大活躍のサーシャが出てこないが、彼はスピンオフの革命シリーズで暗躍中だからな。高校の友人達をこの鉱物シリーズと革命シリーズにはまらせ、受験にあたり大幅な進路変更をさせてしまったのも懐かしい思い出。2004/11/15
みさどん
22
北の工作員チョンがいい人物というのが意外な作りだし、葛藤を起こす。読み手は葉山と一緒に、彼の境遇や思いに、同情したり応援したりしてしまう。葉山を信頼して大きな情報を託すという設定がうまかった。現実に、ここまでこじれている北と南の国は気の毒だとしか思えない。北の動きはいつも不気味だし。前巻からの続け読み。クールなサーシャは出てこなかった。今どこにいるんだろう。2016/10/01
Rin
17
「固い絆で結ばれた家族と そして、常にその中心にいる父へ 感謝を込めて」 この言葉から物語が始まります。そして読み進め、読み終わった時にはこの言葉の重さを心から噛み締めました。母も、子供もとても強かった。家族を信じる大切さや、こうありたいという絆を見せてくれます。どの登場人物にも作者の想いを感じ、約束の地では涙がとまりませんでした。スパイ小説ですが、とても強く「家族」を感じさせてくれる一冊。2014/06/13
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