内容説明
現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干し…。一人でこの坂を歩いていると、死者に会うことがあるという不気味な言い伝えを描く表題作ほか、戦慄と恐怖の異世界を繊細に紡ぎ出す全12篇のホラー短編集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
284
まずは12篇全て外さない今邑さんスゴい!さすが読友さん達絶賛の評は信頼度抜群♪30頁前後で描くのは、奇妙な日常からストーカー殺人・夢の世界・伝承など多岐に渡る。分かりやすく結末見えていても、案外平穏訪れた展開に来るであろう驚愕が予想出来なくても、夢中で読み迎える衝撃のキレ味がたまらない!オススメ一番はやはり「よもつひらさか」古事記の黄泉比良坂から予測させつつ涙まで誘う構成は絶品!故事どおり、人を呪わば「穴二つ」苦笑しながら行き着く真相での捻りは見事。タイトルまんまな恐怖「ハーフ・アンド・ハーフ」も大好き♪2018/12/12
しんたろー
199
今邑さん2冊目は、ホラー+ミステリー+サスペンスなどが詰まった12話の短編集。まるで『世にも奇妙な物語』の台本のような作品が並んでいた(実際『穴二つ』は映像化済)。 一編が30ページ程なので心情が描き切れていないのと、オチが読めてしまう作品があるのが残念だが、その「黒い」発想力は称賛に値する。ストーカーやSNSが一般的に認知されていない頃に時代を先取りしていたのも「流石だなぁ」と感心した。表題作と『ささやく鏡』は、ビジュアルが目に浮かぶ良く練られたホラーで、ゾッとして楽しかった。他の作品も楽しみたい♬2018/06/25
相田うえお
168
★★★☆☆ 【夏は怖〜いの読んで涼しくなろう!省エネだ!ホラー本でクールビズ!】というキャッチフレーズを掲げて読書したものの、やっぱり本はエアコンになりません。暑いものは暑い!ま、本でパタパタしたら団扇代わりにはなりますが、それじゃ本が読めません。結論!本で涼しくは無茶!省エネ〜とか無理に意地はってへたしたら熱中症っす。さて作品についてひとこと、①別の自分が②鏡を見たらだめ③影の家族④写真に!⑤何でも折半⑥天井に人染が⑦タクシー内で⑧夢なのか⑨喝!ネットストーカー⑩絵が変化⑪転生か⑫坂で貰い物を口にすると2016/08/17
金吾
162
○少しゾクッとする短編集です。話の最後に意外な真相がある話もあり面白かったです。「見知らぬあなた」「双頭の影」「遠い窓」「よもつひらさか」が良かったです。2022/03/30
bookkeeper
162
★★★☆☆ 初読。「ささやく鏡」未来を見せる魔鏡。「穴二つ」ネットで性別を偽って書き込みする男が知り合った女。「よもつひらさか」田舎の坂で知り合った人は…。 幸/不幸、正邪、愛憎、見えていた印象が全く違う姿に変わる驚きが味わえる短編集。ホラー・幻想譚などジャンルすら予測不可能です。個人的には「見知らぬあなた」のラストが好き。野菜室とか怖すぎでしょ。12話も入った豪華アソートですが、味はちょっと苦かったり色が黒かったり…でも粒揃いです。 「ねえ、これで、幾分鈍いあなたにも、私の正体が分かったでしょう?」2020/01/08