内容説明
ふたりの出会いはマラソン大会で走っている最中だった。小杉純也はプロを目指す高校球児。坂本ららは走ることと笑うことが大好きな高校生。ららは、運動会から始まってロードレース、駅伝、フルマラソンと次々に記録を塗り変えてしまう。オリンピックすら視野に入って来た。純也もスカウトの目にとまって、プロ野球の選手としてデビューした。涼風のようなふたりの恋。青春長編ラブストーリー。
著者等紹介
川上健一[カワカミケンイチ]
1949年青森県生。十和田工業高校卒。77年「跳べ、ジョー!B・Bの魂が見てるぞ」で小説現代新人賞を受賞してデビュー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
168
1組の男女高校生の野球&マラソンを絡めた爽やかな青春&恋愛モノです。とにかく文体が読みやすく、テンポよく進んでいくのでストレスが少ないです。主人公は野球に才能のある「淳也」とマラソンに天才的な速さをもつ「らら」の二人。「らら」の天真爛漫なキャラがいいといえばいいのですが、個人的には現実にこういうキャラが自分のそばにいたら‘自由’すぎて、少しうっとおしいかもしれません。逆に「淳也」が地味に感じました。後半はまさかまさかの感動的なエンディングに突入していきますが、ココロにジンワリ温かい余韻を残してくれます。 2014/07/15
黒瀬
68
元は1989年発行。だからか、とてもベタ。非常にベタベタな展開。だがあまりにも眩しい物語だった。言葉遣いが今と違ってあっさりと、それでいて凄く爽やかで清涼感があり、昭和後期から平成初期の青春ドラマを見ているような気分になれる。プロ注目の高校球児・小杉純也と走ることが心から好きな坂本ららが出会ったのは運動会のマラソン大会。次々に記録を塗り替えるららはオリンピックすら視野に入り、純也もプロ野球選手として世を席巻する。まるで花火のように、一瞬の輝きに全精力を注いだ二人の純愛物語でした。2019/12/03
ユザキ部長
66
ららのいた夏。『た』の文字が気になりながらもずっと「キャハハ」の声がうるさくて喧しくて困りながら読んでた。しかしやがて「きゃはは」と声が小さくなってしまった。この人はいつも笑って走りますが、また、その笑顔がとてもチャーミング。スラリと格好のいい手足。よく伸びるストライド。リズミカルに、飛ぶように走るフォーム。いつまでも走っていたい。2015/03/21
まさきち
62
走ることが心の底から大好きで、素晴らしい力を秘めている高校生のらら。学校のマラソン大会から始まりロードレース、駅伝、フルマラソンと徐々に走りの幅を広げていく、そして最後には女子国際マラソンで圧巻の走りを披露する様は途中の展開の爽快さの後押しもあって本当に気持ちのいいものでした。ただ毎回終盤にトラブルに見舞われ本来の力通りの結果に終わらないところもまたドキドキしてもう一つの魅力です。また何より後にプロにまで登り詰める高校球児・純也との愛をしっかりと育み、こちらも走り同様楽しんでいるのもよかったのですが、最後2016/06/14
AICHAN
42
図書館本。またまた川上健一ワールド。いきなりしょっぱなから引き込まれて一気読み。凄い小説に出逢ってしまった。走るのが大好きな女子高生「らら」と高校野球部のピッチャー男子とのラブストーリーなのだけれど、走りながら恋を語り合うという出だしにうちのめされ、接続詞のほぼないスピード感溢れる文章にぐいぐい引き込まれ、もう完全にヤラれた。後半は涙ボロボロ。天使の物語だった。小説の映画化はあまり好きではないが、これは映画化してほしいと思った。少年少女の恋物語を書かせたら川上健一の右に出られる人っているのだろうか。2017/06/21