内容説明
女が一人、本気で生きてゆくために娼婦になったわたし。父が幼いわたしにいつも教えてくれたフンボルト海、静かの海、スミス海の名を忘れない。父が死んだ時、他所に子供をもうけていたことを知った。初めて耳にする「弟」の名トシヤ。父の死から13年、突然そのトシヤからの連絡が…。未だ断ち切れぬ父への思いを描いた力作。単行本未収録作品4本を含め7本で構成された傑作短編集。
著者等紹介
藤沢周[フジサワシュウ]
1959年1月10日新潟生れ。法政大学文学部卒。93年「ゾーンを左に曲がれ」で登場。98年「ブエノスアイレス午前零時」で芥川賞を受賞。著書「死亡遊戯」「サイゴン・ピックアップ」「愛人」など
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感想・レビュー
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harass
25
芥川賞受賞前後の短編をまとめたもの。表題作のスミス海とは月の海の名前のこと。この作家の作品にしてはまだわかりやすいものばかりだ。文章のこだわりというか表現がまだ素直に感じられる。いつものように苛立ちや憤懣や鬱屈が奥底にある人物ばかりだ。物語ろうとするよりもシーンを重ねていくふうにいつもこの作家の作品を読むたびに感じる。不親切な作風で媚びない作家だ。2014/06/30
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2
カナル高浜…素晴らしい。2014/10/08
CEJZ_
0
1P15行。何を読んだらいいかわからないとき、困ったときは藤沢周を読むようにしている。日常に潜む尖った人間の尖ったハナシばかり。藤沢は鎌倉在住だが、書くものはうれしいくらいに生まれ育った新潟気質、ネクロ新潟スタイルだ。表題作に出てくる父親は、藤沢自身の父親、そのものだろう。短い話のほうは、深いようで、どうでもいいハナシだなと思った。ただ問題なのは作品について何かを語れば、たちまち剣道四段の腕前で叩っ斬られるおそれがあることだ。対話は成立しない。ただ時々好んで藤沢周の未読作品を探して読むだけだ。2016/11/20
いのふみ
0
以前流し読みしてしまったが、文庫で再読。著者独特の比喩や細部へのこだわりが強い? 単行本未収録の短編四本はさりげないほんの1シーンだが、奥に黒いものが見え隠れする。玩物喪志だと思っていた「カナル高浜」は、爆発しそうな中学生の精神などの諸相を拳銃で象徴させたのか(メタファー?)。面白く再読できて良かった。2011/08/03
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