内容説明
「ワセダ大学小説教室」第三弾。創作の基礎技術・方法を会得し、いよいよ最も大切な「テーマと手法」の選び方に突入する。時代に即した現代のテーマを選定するために、過去に書かれ読まれてきた名作を分析し整理しておこう。戦後50年の日本文学を効率的に振り返り、刺激に満ちた新しい小説を作り出す礎を確保。ベストセラーを書く日は近い。シリーズ完結篇。
目次
プロローグ 書く前に読もう超明解文学史
第1回 なぜ文学史を学ぶ必要があるのか
第2回 自然主義を超える小説とは何か
第3回 戦後文学の黄金時代
第4回 不死鳥のごとき私小説の復活
第5回 文学の横綱とは誰か
最終回 二十一世紀の文学とは何か
エピローグ どしゃぶりの中でも小説を書こう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともすけ
8
語り口が非常に柔らかく三田誠広氏の独自の視点を加えて文学史が書かれている。学問としての文学史というったものとは少し違い、まさにこれから小説家を目指そうという人が読むための文学史であろう。三田氏は『実存と構造』という本も出しており、この作品のなかでも実存主義文学と構造主義文学について書かれている比重が多いように思う。タイトル通り明解であり文学史を学んだことのない人でも気楽に読めるものになっているのだが、きちんと文学史を勉強したものが読んだなら三田氏の文学史への造詣の深さというものをより感じるであろう。2016/01/09
fseigojp
8
大江がなぜ偉いのか ちょっと了解2015/07/18
ぽち
7
こんなもんを読んだことを記録しておくのもアレだな、と思いながら・・・前半2/3ほどはPHP文庫的な薄い文学史俯瞰で、最後の方は筆者と同時代の作家を軽く鼻で笑っている感じです。構造と状況の分析を得意げに語る、というのはどうにも思春期の女子っぽくて、どうにもアレです。ブックガイド的には、もっと良質なものがいくらでもあります。ただ、自分(ぽち)は20代のころこの類の本を結構読んでいたんです。という告白。2015/06/15
がりがり君
6
文学を評価する方法は2つある。どれだけ売れたかを尺度にする方法と、どれだけ文学性が高いかを尺度にする方法だ。本書は後者を採用しているようだ。それだけでなく、どのような時代にどのような時代背景があってどんな本が売れたかを時系列で説明している。それでも村上春樹の出現前後で文学性が変わってしまっただとか要所は外さない。個人的には「梶井基次郎」の「桜の木の下には」が読みたくなって文庫本を買ってきた。「桜の木の下には肢体が埋まっている!」2015/09/28
山田K
3
大江健三郎と中上健次についての考察が読みたくてKindleで購入。が、その他の部分で期待以上に面白かった! 本当に明解だ! 『悪霊』読んで見たいと思いつつ躊躇していましたが、本気で挑戦したくなりました。シリーズ通してよんでみようかな。2018/04/06