内容説明
僕は旅が好きで、なんとなく日本に辿り着き、京都の大学で日本文学を勉強している。アルバイトで、目の不自由な若い女性・京子に、対面朗読をすることになって、文学に憧れをもつ京子とうちとけていき、彼女の心に受け入れられていくのを知った。でも、京都の『街』は、いちげんさんは受け入れてくれない―。古都を舞台に爽やかに描く恋愛長編。すばる文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
282
著者のデビット・ゾペティは、ジュネーブ生まれのスイス人。独語、仏語、イタリア語、英語、日本語を駆使するマルチ・リンガルだそうだ。本書も翻訳ではなく、日本語で書かれている。京都での冬に始まって、次の年の冬までの1年間を綴る。作中にドイツの壁崩壊のニュースが出てくるので、作中の時は1989年。本書はもちろんフィクションだが、作者の年齢にあてはめるなら27歳ということに。作中には様々な思いが交錯する。異国・異文化への順応と外国人であることの違和感、京子への愛とボヘミアンな性状との葛藤など。もちろん、それは京子⇒2026/03/09
てち
85
本当に、外国人が書いた文章なのだろうかと読み終わった後感じた。そういった意味では私も、本作の京都の人たちと同様に、「外国人だから」という色眼鏡で見てるのかもしれない。それはさておき、本作でのお気に入りのフレーズがある。文学ちゅうもんは、大学で学ぶものでなく、社会を観察し、人生を通じて人間が持ってる醜い部分もあえて求めることや。うむ。間違いないな。 2022/09/21
シュナイダー
57
視覚的に「ガイジン」であることから逃れられない西洋人の青年(作者、デビット・ゾペティ)と、視覚的な先入観に縛られないが故に彼とも親しく交流できる盲目の女性・京子。いつも「見られる存在」である二人の側から逆に見ることで、浮かび上がるのは、日本社会の閉鎖性であった。 一九九六年、第二〇回すばる文学賞受賞作品2020/08/03
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
33
何も考えずに欲望と雰囲気だけで恋をしたり、側からみれば突拍子もない衝動に駆られたような行動をとることができる時というのは、人生において貴重な瞬間だ。自分を振り返ってみてもしみじみと思う。「ノスタルジーに浸る」とはまさにこのこと。 文体もとても読みやすく、良い小説でした。2020/07/29
菜花@ほのおかくとう協会門下生
15
日本文化に対する批判が鋭く的確です。食事時に流れるCMへのコメントなんて、もう本当に声を大にして「お下品です!」と言いたい。翻訳本だと思っていたので、本人が日本語で書いたと聞いてびっくりしました。表現が独特で面白かったです。主人公は自分は遊牧民だといいつつも受け入れられたがり、日本は排他的だと毒づき、面倒だと感じます。でも、外国人にそう思われるのは悲しいことですね。見た目がほとんど、というのは、同じ種族内のみで言えることなのでしょうか。気をつけなければ。2014/12/02
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