出版社内容情報
天才少年剣士・隼四郎の成長物語
武芸の達人である祖父の下で育った隼四郎は、16歳の時、父の家に迎えられる。やがて父の主家の家老の汚職に気づき、これを究明しようとするが、命を狙われるようになり…。(解説/縄田一男)
内容説明
「勝とうとすれば、気が散るぞ。そんな暇があれば、相手など斬れるわい」。魔剣・不知火落としを操る九堂に対峙した隼四郎の胸裏に声が鳴る。流れ者の剣客に育てられ、十六歳で実父と対面した兵法者は、書物学問奉行の跡取りとして「滅私奉公ごっこ」を始める。しかし、やがて領民を置き去りにした藩政にもの申し、驚くべき行動へ。大人たちの野心と陰謀に敢然と挑み続けた天才剣士を描く。
著者等紹介
多田容子[タダヨウコ]
1971年生まれ。京都大学経済学部卒業。99年、剣豪小説『双眼』でデビュー。柳生新陰流、小転中伝。2004年、兵庫県芸術奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BlueBerry
11
なかなか面白かったです。所謂、藩の汚職追及系のお話ですね。主人公が事件の解決にはあまりタッチしていないからその点は物足りなさが残るかもしれません。良く書けていると思うのでお勧めできると思います。2013/06/16
gachi_folk
5
初めて手にした著者だが面白い。剣客ファンにもミステリー好きにも堪能できる濃い内容。人に勧めたくなる時代小説だな。紹介頂いた書店さんに感謝。2012/12/10
a_yokota
4
流れ者の剣客に育てられ、16歳で実父たる藩の書物学問奉行の跡取りとなった隼四郎。しかし領民を思わぬ重臣を批判したことから…。魔剣の使い手との対決など剣戟場面の興奮と、大人たちとのやり取りや友情の中で成長していく青春小説としての爽やかな感動が両立している。2012/09/15
ソババッケ
3
若者の成長譚である剣豪ものと、同学の友情を扱った藩校もの、そして主人公の出生の秘密を解き明かすミステリー、これらの要素をからめた物語といっていいのかもしれない。ところどころの状況設定にしっくりこない点はあるものの、いままでになかった匂いを感じる小説で、一気読みさせるものがある。物語は5万石の小藩・林葉家に、儒家として仕える家に16歳の主人公が引き取られる所から始まる。東海のどこかの藩がモデルになっているのであろうか。のどかなふんいきもいい。この作者の作品は初めて手にしたが今後の活躍に期待したい。★3.82012/11/06