出版社内容情報
平清盛河童伝説に絡めて贈る、異色時代小説。
死後、平清盛は九州の巨勢川の河童となった。一帯の河童の親玉・九千坊とのやり取りのなか、自分の過去を振り返る。朝廷での権力争い、保元・平治の乱…。清盛の時代と生涯を描く書きおろし作品。
内容説明
「おまえが武名を高めた“やすもとの乱”というのはどういう事件だ?」。河童の頭目、九千坊が問う。清盛が笑う。「それは“ほうげんの乱”だ」。平清盛は死後、筑後川の支流の巨勢川の河童になった。疑り深い九千坊との丁々発止のやりとりのなか、かつての自分がたどった道を振り返る。厳島の社、福原の新都、海に造った経島。ひたすら夢を追い続けた男を描く、童門冬二の書き下ろし、異色時代小説。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年10月東京生まれ。44年海軍土浦航空隊に入隊するが翌年終戦。戦後は東京都庁に勤務。知事秘書、政策室長などを歴任。退庁後は歴史小説やエッセイを執筆。組織と人間をテーマに講演活動も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
3
久留米に平清盛が巨瀬川の河童になったという伝承を元に河童となった清盛が河童の大将に対して自分を語るスタンスで書いた小説。朝廷内での争いや保元、平治の乱についてよくまとめられている。ややこしいところなので覚えにくいなやはり。夢だからと一歩退いているから必死さがないというところはなかなか面白い視点でした。2015/03/24
blue-brass
2
残りの頁が僅かとなってどうレビューを書いたものか困っていたところ「おわりに」が出て来て、著者が清盛を河童にした訳が分かるのかと思いきや「書いて楽しい小説」を書きたかったとあり「楽しんで読んでくださる」かは「大きな疑問」には、うーんとなってしまった。確かにWikipediaによれば、九州の伝承に「平家の落人の霊魂は河童」になって悪戯をしたとの記述も見えるが、そもそもトラブルメーカー的存在。ゴメン、先生、その意図よくわかりませーん。ついでに一言。系図や年譜がついてるの、最後に知りました。目次に書いといて。2025/06/18
FUJI燦々
2
変わった歴史小説だなぁ。河童に生まれ変わった清盛が人間だった頃を振り返る形で物語が紡がれる。・・・・・・他に類似する作品を経験したことはないほど斬新だが、面白いのかな?もうちょっとシンプルな形での清盛の話のほうが魅力があるように感じました。2023/11/09
紅蓮
2
清盛っていう人については理解できたような気にはなれるのですが、これって小説のくくりなんですかね?河童としての清盛の立ち位置がいまいちつかめなくて、九千坊河童との問答がただ清盛の生涯を辿っただけのように思えちゃいました。これだったら閻魔様との問答とかのほうが面白くなるんじゃね?平八河童も途中で出なくなっちゃったし。せっかく河童になったのになぁ。もっとハチャメチャでもいいのに・・・って思ったら結構なお歳の方なんですね。失礼しました(('ェ'o)┓ペコ2013/12/28
yamakujira
1
平家滅亡後、カッパとなって蘇った清盛が、カッパの親分に自分の生涯を語る。保元の乱や平治の乱の複雑な背景がわかりやすく語られてるけれど、物語としてはそれだけって感じ。事跡をたどると権力欲の権化にしか見えない清盛が、夢を追っていたなんて、おもしろいね。 (★★★☆☆)2013/11/18