内容説明
「あなたはマザコンよ、正真正銘の」妻に言われ、腹立ちまぎれに会社の女の子と寝てしまったぼく。夫より母親を優先する妻のほうこそ、マザコンではないのか。苛立つぼくの脳裏に、死の床から父が伸ばした手を拒む母の姿がよみがえり…表題作ほか、大人になった息子たち娘たちの、母親への様々な想いを描く作品集。疎ましくも慕わしい母と子の関係―胸がしめつけられる、切なくビターな8編。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年横浜市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年『ロック母』で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
172
母親に関する短編集。後書きに、息子が書いた母親の短編集に触発されたとのこと。娘が書く視点が違うことを実証するための作品。すばる2004年から2007年までに掲載。掲載期間中に著者の母親が亡くなられたとのこと。やや暗め、解説:斉藤環。ナツイチ2013/08/10
ミカママ
108
強烈なタイトルも、角田さんだもの、はずれるはずない、と読み始めました。う~ん、さすが!私自身、母であり、娘であるわけですが、正直年老いた母との関係がビミョー。この物語に出てくる主人公とその母親たちの関係、どれも少しずつ自分と母とのそれに似ていて、鳥肌が立つほど。逆に言うと、うちの子どもたちもこういう目線で私を見ているのか、と怖くなったり。世の中のすべての母親、そして娘、息子であるあなたに、読んでもらいたい作品です。2015/02/02
パフちゃん@かのん変更
64
60~70代の母親と、30~40代の子どもとの関係がテーマ。特に娘の目から見た母との関係。母になる前の母とか母をやめた母とか、母による娘支配とか・・・。はっきりいって面白い話ではないが、なんとなく身につまされる切ない話。2015/02/19
NADIA
63
母親をテーマとした短編集。ほとんどの作品が中年以上の子供の視点で母親を語るもの。それぞれ別種の問題を抱えていて、実際の自分と母親の関係について考えさせられる。物語のほとんどが形としては何の解決もなく終わるところがとてもリアル。最後の作品の「義母が若いころの恋愛を語るのを、とても嫌がる夫」というのは心情的によく分かる。他人ならば全然気にしないが、実の親の生々しい恋愛話は、私も聞きたくないと思う。2018/10/15
優希
62
切なくて胸が苦しくなりました。親と子の関係は難しいものですね。過保護になったり甘えすぎたり。自分も母親に甘えているところがあるのでマザコンなのかもしれません。2021/05/15