内容説明
俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。定職にも就いてない。同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み、泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。輝いて見えるものなど何もなかった。人生はタクシーに乗っているようなもので、全然進まなくても金だけはかかってしまう。そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。第11回大藪春彦賞受賞作。
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年台湾生まれ。73年より日本で生活。91年大学卒業後東京にて航空会社勤務の後、大学院に進学。経済学修士課程を修了し、中国へ留学、博士課程中退。通訳業を経て大学の非常勤講師をする傍ら、執筆。2002年、『逃亡作法 TURD ON THE RUN』にて第1回『このミステリーがすごい!』大賞・読者賞をダブル受賞。『路傍』で、第11回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
223
なんだろ、これは。『まほろ駅前』のハードボイルド版、みたいな?途中胸の悪くなるようなシーンもあったけど、グロだけにならないのは、東山さんの筆力でしょう。まじめに愛や人生を語る主人公男子ふたり、かわいげあってよろしい。読みながらお酒やたばこが欲しくなる作品でした。この作品を漢字一文字でいうならば(笑)「動」もしくは「青」かな?2016/06/08
巨峰
78
これは面白かった。村上春樹の「風の歌を聴け」に、花村萬月の暴力エロドラッグ青くささをぶちこんでまぜにまぜた感じ。天国いきのスローボートですから。ただ、下品なので、読む人を選ぶとは思います。2015/08/08
いたろう
70
殺し以外何でもあり。チンピラ2人組のハチャメチャな日常を面白おかしく描いた作品。地元である船橋が舞台ということで、楽しみに読んだが、船橋とその周辺の地名が出てくるものの、言ってみればそれだけ。これって別に船橋じゃなくても良かったのでは? まあ、面白いからいいか。文庫解説で、馳星周氏が「なにも考えずに書いてこれだけの作品になったんだぞ。考えて書いたらどれだけ凄いことになるんだ。」「いつか、東山彰良はとんでもない傑作を書く。」と書いていたが、その予言が、後年、直木賞受賞の「流」で的中したかと思うと、感慨深い。2020/05/10
chiru
63
主人公3人のノワール小説? バイオレンスと、中学生男子がじゃれてるような軽快さが対照的。『人生はいつだって、絶対に開かないとわかっているパラシュートにしがみついているようなもの』などの名言がけっこうある。 船橋が舞台なので読んでみたけど(たまに行くから)男性向きの本かな…。 ★22018/03/05
眠たい治療家
58
大藪晴彦賞受賞作。アウトローな二人組、矢野と喜彦。バーボンを飲んでは語り合い、急にブチ切れてはお互いに殴り合う。かっぱらったお金でソープに行き、マリファナを吸い、職場で暴れては仕事をクビになる。トラブルは毎日のように訪れ、そして金はなくっていく。無法者が破天荒に、心のままに、信念のままに、日々を過ごしていく。とにかく無茶苦茶な二人がいろいろなトラブルを巻き起こしていく。社会への不満を爆発させながら、信念に沿って日々を謳歌する姿は不思議な魅力がある。作中の文学的表現や信念と考えに度々ドキッとさせられる良作。2013/01/03
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