出版社内容情報
家庭内の「明るい隙間」を描く傑作短編集
ネットオークションにはまる専業主婦、会社が倒産し主夫となった夫、ロハスに凝る妻に辟易する小説家の夫……など。あたたかい視点で描く新しい家族の肖像。第20回柴田錬三郎賞受賞作。
内容説明
会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは…。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て97年『ウランバーナの森』で作家デビュー。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞、2004年『空中ブランコ』で第131回直木賞、2007年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
937
6つの短篇を収録。タイトルの『家日和』は、全体を統括するもので、いずれもそれぞれの家庭の物語が展開する。最後の「妻と玄米御飯」は、作家自身の家庭を語ったかに見せるフィクション。案外これがリアルだったりするかも。どの作品も、それまでの日常に1点新しいものを入れると、各主人公や周縁の人々のそれまでは隠されていた本質の一端が露わになるというスタイルをとる。基本的な構造はすべてこれでありながら面白いのは、人物造型が活き活きしている故であろう。それがまた奥田英朗の真骨頂でもある。2021/09/23
ehirano1
680
著者の「無理」、「最悪」、「邪魔」というキングオブ“不穏”とも云うべき作品が凄く印象に残っているので、なんかこう「まぁ、いいかぁ」と云うところに全てが落ち着くストーリーには驚かされました。各々の主人公の境遇は傍から見るとあまりよろしくないのですが、ちっとも辛そうではないのです。そして、各々が妥協点というかセカンドオピニオンというか、こういう考え方や捉え方もあるんだよ、と読者に言っているような感じでした。人生心の置き所とは中村天風の言葉ですが、ホントそうですね。2017/07/15
再び読書
568
流石の奥田氏の短編集、心地よい読書の時間を過ごせます。ネットオークションを題材にした「サニーデイ」。倒産を気に主夫となりながら、それを面白く生きてしまう「青山」。離婚したのにより人生を楽しんでしまう「家においでよ」。すこしエロイ「グレープフルーツモンスター」。新しい仕事にいとも軽がると挑戦してしまう夫に、いらいらつくと同時に仕事に閃きを得られる嫁を描いた「夫とカーテン」。ロハスに不満を持ちながら、それをぶつけられない小説家の夫は「家と玄米ご飯」。「延長戦に入りました」から始まった益田さんの漫画も秀逸です。2013/05/22
にいにい
497
「我が家の問題」と対の作品ということで、読んでみた。こちらを先に読むべきだったかな。家族、特に夫婦の微妙な行き違いと何かしらの絆を感じる六篇の短編集。「我が家の問題」より、こちらのストーリーの方が好きなものが多いな。「ここが青山」と「夫とカーテン」が特に面白かった。栄一みたいなキャラいいなぁ~。「妻と玄米御飯」が、「妻とマラソン」となるのも興味深い。これは、奥田さんの体験を元にしてるのかな?後書きにあった「延長戦にはいりました」も読みたいな。家族も色々あるけどどうにかなると思わせてくれる一冊。2014/09/17
射手座の天使あきちゃん
448
奥田さん十八番(オハコ)の短編集です。 いるいるこんな人(笑)とか聞いたことあるその話(笑)とか思わず身につまされる話とか・・・ 夫婦や家族の日常を丁寧にスケッチして、ちょっぴり笑を含ませたお話です。 でも最後は「よーし、元気出してやるぞぅ!!」って背中押される感じがして嬉しい!! v(^_^)2010/08/31