内容説明
人材派遣会社を営む紀ノ川由希子は42歳、独身。恋人には妻子がいる。愛しているのに、会えば会うほど飢えていく―そんな心の隙間を埋めるため、逢瀬の後はいつも派遣ホストを呼んでいた。ある日、恋人が不慮の死を遂げた。若い女をストーキングした挙げ句、歩道橋から転落したという。彼がストーカー?不審に思う由希子は、真相を探り始める。男と女の欲望を精緻に描く、傑作長編ミステリー。
著者等紹介
永井するみ[ナガイスルミ]
1961年東京都生まれ。東京藝術大学音楽学部中退、北海道大学農学部農業生物学科卒業。96年「マリーゴールド」で第3回九州さが大衆文学賞、「隣人」で第18回小説推理新人賞、『枯れ蔵』で第1回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
305
上手いなぁ。想像してたのとは少し違ってたけれども。ミステリーであり、由紀子のお仕事・恋愛小説でもあり。彼女にとって、テルの存在が救い。女性にはみんな、テルみたいな男子が必要なのよ。私自身は、実は「ありさ」に近いと思ったな(笑)2017/12/09
相田うえお
136
★★★☆☆18073 集英社文庫ナツイチ選定作品(夏休みに中高生にも文庫本を読んでもらいたいという読書習慣普及キャンペーン、らしい)。というわけで夏が終わる前に読まなきゃー!初読み作家さんでもあるし楽しみ〜とスタート!えーと、内容は中高生にはちょっと重めかな?不倫に出張ホストにDV,離婚,ストーカー,嫉妬、ついには殺人まで。感情巻き込まれ度が高い作品なので、ティーンであれば情報の取捨選択,分別の出来る人向けですね。後半に入って予想もしなかった展開にビックリ!微かに未解決を残しつつ了。これは傑作です!2018/08/28
じいじ
106
三作目の永井するみ小説。この心理サスペンスは滅茶苦茶にいいです、面白いです。主人公・女性二人のキャラづくりが巧いです。同時にこの二人に絡む三人の男たちが、読み手の女性が望む理想の男性像として描かれているように思えます…。とりわけ、今作では表題にもなっている人間の「欲」について追求されているが、著者の物語へグイグイと引き込む筆力は凄まじい。残念なことに新作が読めない作家さんだけに、残された作品を大事に読んでいきたい。永井するみを未読の諸氏へは、お薦めの一冊です。2019/06/20
まさきち
92
登場する全員のクズっぷりは気持ちよく、そして落ち着くところにしっかりと落ち着いていくさまが面白く、頁をめくるてが止まりませんでした。2018/08/12
takaichiro
88
永井さんの巧妙さが生きるミステリー。一時マスコミでも取り上げられた生活保護の不正受給を隠し味に、登場人物の様々な”欲しい”ものへのアプローチを絡め、上等なエンタメに仕上げている。”欲しい”と懇願するものが相手から与えられなかったり、与えられても相手は純粋な気持ちではなかったり、様々な欲望がねじれの関係で交差する。自分以外全て他人である以上、人間社会は悲しいかなこの状態とならざるを得ず、外交摩擦や戦争の原因にもなる。アンジャッシュのコントを一度に何本も見せられている様な多面的な面白さ。オススメ!2019/07/20
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