内容説明
会津藩士の三男坊・佐々木只三郎。精武流の剣と宝蔵院流の槍を学び、立身を夢見て江戸へ。やがて京へ上った只三郎は、その剣技と知謀を認められ、京都見廻組与頭となる。討幕を呼号する尊皇過激派の跳梁跋扈が熾烈化すると、まず尊皇派の清河八郎を暗殺、そして坂本竜馬を狙い…。表題作他、激動の幕末を至純な情熱で駆け抜けた若者たちと、彼らを愛した女たちの切なく哀しい生き様を描く全七篇。
著者等紹介
早乙女貢[サオトメミツグ]
1926年、中国ハルビン生まれ。戦後、山本周五郎の知遇を得、作家となる。68年『僑人の檻』で第60回直木賞受賞。89年、独自の歴史観が結実した大河小説『会津士魂』で第23回吉川英治文学賞を受賞。『血槍三代』など著書多数。2008年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
25
「竜馬を斬った男」は映画の印象が強いです。最後の部分は好きな箇所です。他の6作品も良かったです。2025/06/07
金吾
17
佐幕に軸足を置いている著者の維新短編集です。「竜馬を斬った男」と「若き天狗党」が面白かったです。2021/08/02
ブラックジャケット
8
題名は重要だね。著者が「竜馬を斬った男」として京都見廻組佐々木只三郎の生涯を描いた短編時代小説は、彼の一生を看破した名タイトルとなった。新撰組ものに押され、影が薄いが、会津藩士の生まれで、旗本の養子となり佐々木性を名乗った。近藤や土方と比べれば、はるかに筋がいい。しかし 歴史に名をとどめたのは人斬り。巨星を斃した剣は暗い輝きを放つだけ。他に幕末の群像を描き、時勢に見放された悲哀が胸を打つ。「天狗党」「天誅組」鳥羽伏見の戦い後の近藤勇と土方歳三の暗転する運命、負ければ賊軍のたとえ通りの転落ぶりが痛々しい。 2019/10/02
お萩
4
幕末好きだったのは中高生の時だから約10年ぶりの早乙女貢。ラスト二編は特にその頃の自分を思い出して若かったなーと感じ、確実に主人公の近藤勇や土方歳三の年齢に近づいている自分を思ってぞっとする。女が出てくると文章がぐんと色っぽくなって、良い。2015/12/03
とくま
3
○「だって、隠したって、梅花がよく知っているのですもの。」2017/11/30