内容説明
巨大なモスク、そびえるミナレット(塔)、野菜が中心で美味な料理、所構わず大声でケンカするが親しみやすい人々。初めて訪ねたトルコでイスラム世界にどっぷりはまった著者夫婦は、イスラムの国々をとことん見ることを決意する。有名なエジプトやモロッコはもちろん、イラン、ウズベキスタン、そしてイエメンまで。宗教の陰に隠れた、人々の本当の暮らしとは!?中高年夫婦で行く旅のコツも満載。
目次
序の章 インド―イスラムの幻影
第1章 トルコ―文明の十字路
第2章 ウズベキスタン―内陸シルクロードの旅
第3章 イラン―ペルシアの残像
第4章 レバノン、シリア、ヨルダン―三つの宗教のふるさと
第5章 チュニジア―カルタゴとサハラ砂漠
第6章 東トルコ―聖書と民族問題
第7章 モロッコ―迷路の国
第8章 エジプト―ナイル川にアザーン
第9章 スペイン―太陽の国のレコンキスタ
追補の章 イエメン―摩天楼都市の国
著者等紹介
清水義範[シミズヨシノリ]
1947年10月28日名古屋市生まれ。愛知教育大学卒業。81年『昭和御前試合』でデビュー。88年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。奇抜な発想とユーモアを駆使した作品を次々と発表。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
103
2016年574冊め。夫婦の旅は90年代から始まっており、9.11テロ後にも今では気軽に行けなくなったエジプトやトルコを訪れている。今ではこの軌跡を辿ることは難しい。いつか我々がまた旅することができる日はくるのだろうか。内容としては旅行記として現地人とのエピソードや観光話を中心にしながらも、著者が独自に調べた歴史的な考察も多く参考になる。一神教なのに聖人を祭っているイランの謎は、シーア派だったからとか。2016/07/18
ワニニ
59
【ナツイチ2016】昔、『国語入試問題必勝法』を読んで爆笑したりしたので、きっと…と手に取ったら、やっぱり面白かった!何といっても夫婦で同じ興味を持ち、緩くでもテーマを持って旅先を決め、楽しく旅行出来るなんて羨ましい。その行先がイスラムの国々というのは、知的好奇心が湧いても、なかなか勇気が要るから、未知の世界を味わえる。中年以降海外旅行に目覚めた著者が、本当に率直な感想や疑問を書いているのも良い。あくまで旅行エッセイだが、歴史や文化等もだいぶ分かり易くまとめられていて、世界史知らずも引っ掛からずに読める。2016/10/30
鱒子
38
kindle本。清水義範さんご夫婦がイスラム圏の旅をしたエッセイ。お酒が好きな清水さんは苦労されていますね(^_^;) 予備知識なしで旅行して、気になったことを帰国して調べられているので、イスラム圏に無知な私にも分かりやすかったです。写真は全て奥さんが撮影されたようです。さすがにプロとは違いますが、とってもお上手です。2016/11/16
HoneyBear
37
トルコやエジプトで遺跡にはまって以来、家族でこの本のような旅行をするのが夫婦の長年の夢だった。ダマスカスとかパルミラ遺跡とか訪ねたかったが破壊されてしまって残念でならない。清水ご夫妻はチュニジアとかイエメンとかも行っていて羨ましいが、今はトルコやエジプトすら危険になった。ほんの10年そこらで中東の状況が大きく変わってしまったことを実感させられる。早く本当の意味での春が中東に訪れますように。それまで、この本で中東紀行の疑似体験をさせてもらうこととしたい。2016/04/19
ユメ
35
旅先のインドでイスラム文化の影響を感じた清水さんご夫婦は、イスラム圏の国々を順に旅する。しかし、それらの国々がイスラム国家であるというのは、あくまで現在の話。現地に降り立てば、イスラムだけではなく、ギリシア、ローマ、キリスト教…様々な文化が影響し合ってその国の歴史を構成していることがわかる。当たり前と言われてしまえばその通りだが、実際自分の肌で文明の交錯を感じる驚きと面白さは格別だろう。読んでいて、俄然世界史を学び直したくなった。何といっても、この知的な刺激に満ちた旅をご夫婦で共有しているのが羨ましい。2018/03/25